JAの活動:今さら聞けない営農情報
【今さら聞けない営農情報】第12回 肥料の成分Ⅲ2019年7月26日
肥料は、農作物の健全な生育を促すために不可欠な資材です。この肥料に含まれる成分が書かれている保証票の用語について、前回までに肥料の3大要素であるN(窒素)、P(リン酸)、K(カリ)を紹介しました。今回は、それ以外の要素についてお伝えします。
1.苦土(MG)
苦土(マグネシウム)は、作物が生きていくために必要なエネルギー生産の元である葉緑素の主成分です。マグネシウムが欠乏すると葉緑素の生成が低下し、光合成が衰えて炭水化物(エネルギー)の合成も減り、十分な生育が得られないなど、とても重要な役割を持っています。
(1)く溶性苦土(C-MgO)
ゆっくり効く苦土成分。単肥製品では、「ニューエコマグ」や「水マグ」があります。
(2)水溶性苦土 (W-MgO)
速く効く苦土成分。単肥製品では、「硫マグ」があり、速効性の苦土肥料として知られています。
2.ケイ酸(SiO2)
ケイ酸は、全ての作物に必要ではありませんが、稲にとっては必要不可欠な要素です。稲の茎数や1穂あたりの籾数、登熟歩合などに影響を与えます。不足すると、生育不良、収量・品質低下、茎葉が軟弱化し、病害虫に侵されやすくなるので、ケイ酸質肥料は稲栽培には不可欠な資材です。
(1)成分には、ゆっくり効く「可溶性ケイ酸(S-SiO2)」と速く効く「水溶性けい酸(W-SiO2)」があり、肥料製品によって含まれる成分・量が異なります。
(2)肥料製品としては、ケイカルやケイ酸加里、ウォーターシリカなどがあります。
3.ホウ素(B)
ホウ素は、非金属の微量要素。主に植物の細胞壁を構成する成分で、根や新芽の生育を促進したり、細胞分裂や受粉に必要とされる成分です。土壌に含まれるホウ素の量が少ないので、欠乏しやすく、欠乏すると新芽などに影響が出やすくなります。
ゆっくり効く「く溶性ほう素(C-B2O3)」と、速く効く「水溶性ほう素(W- B2O3)」があり、一般に次のマンガンとともに微量要素資材であるミネパワー、FTEなどに含まれます。
4.マンガン
植物体内でおこるさまざまな代謝で必要とされる要素。植物が光合成を行う時、二酸化炭素を固定するために必要不可欠なものです。その他、葉緑素やビタミン類の生合成に必要な要素です。欠乏すると葉脈が黄色くなるなどの症状が出ます。
ゆっくり効くタイプの「く溶性マンガン(C-MnO2)」と、速く効く「水溶性マンガン(W-MnO2)」があります。
5.堆肥
土づくりには欠かせない資材で、牛フン堆肥や豚フン堆肥などがあります。堆肥の種類や製造所によって含まれる成分が異なるので、表記をよく見て上手に使う必要があります。
(1)炭素窒素比(C/N)
堆肥の「肥料取締法に基づく表示」に必ず出てくる項目で、製品中の炭素量を窒素全量で割って100を掛けたものです。
(2)適正範囲
炭素窒素比は腐熟の目安とされ、15~20の間(18.8くらい)が良質で、30までのものが理想。この範囲であれば、シロダニによる有機物分解や自活性センチュウ・ミミズによる土壌の団粒化が活発に行われ、土壌改良の効果も高まります。
(3)窒素飢餓
堆肥中の窒素分をエサとする微生物が、足りない窒素を補うために、土壌中の窒素分を取ってしまうことによって起こります。結果として作物が使う窒素が不足し生育に影響が出ます。堆肥のC/N比が30を超えると「窒素飢餓」が起こりやすくなるので、そうした場合には別途、窒素分をほ場に補う必要があります。
(前回の記事)
・【今さら聞けない営農情報】第11回 肥料の成分Ⅱ
重要な記事
最新の記事
-
【注意報】カンキツ類に果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 高知県2025年10月17日
-
【国際協同組合年・特別座談会】いまなぜ二宮尊徳なのか 大日本報徳社鷲山社長×JAはだの宮永組合長×JAはが野猪野氏(1)2025年10月17日
-
【国際協同組合年・特別座談会】いまなぜ二宮尊徳なのか 大日本報徳社鷲山社長×JAはだの宮永組合長×JAはが野猪野氏(2)2025年10月17日
-
【国際協同組合年・特別座談会】いまなぜ二宮尊徳なのか 大日本報徳社鷲山社長×JAはだの宮永組合長×JAはが野猪野氏(3)2025年10月17日
-
25年度上期販売乳量 生産1.3%増も、受託戸数9500割れ2025年10月17日
-
(457)「人間は『入力する』葦か?」という教育現場からの問い【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年10月17日
-
みのりカフェ 元気市広島店「季節野菜のグリーンスムージー」特別価格で提供 JA全農2025年10月17日
-
JA全農主催「WCBF少年野球教室」群馬県太田市で25日に開催2025年10月17日
-
【地域を診る】統計調査はどこまで地域の姿を明らかにできるのか 国勢調査と農林業センサス 京都橘大学学長 岡田知弘氏2025年10月17日
-
岐阜の飛騨牛や柿・栗など「飛騨・美濃うまいもん広場」で販売 JAタウン2025年10月17日
-
JA佐渡と連携したツアー「おけさ柿 収穫体験プラン」発売 佐渡汽船2025年10月17日
-
「乃木坂46と国消国産を学ぼう!」 クイズキャンペーン開始 JAグループ2025年10月17日
-
大阪・関西万博からGREEN×EXPO 2027へバトンタッチ 「次の万博は、横浜で」 2027年国際園芸博覧会協会2025年10月17日
-
農薬出荷数量は0.5%増、農薬出荷金額は3.5%増 2025年農薬年度8月末出荷実績 クロップライフジャパン2025年10月17日
-
鳥取県で一緒に農業をしよう!「第3回とっとり農業人フェア」開催2025年10月17日
-
ふるさと納税でこどもたちに食・体験を届ける「こどもふるさと便」 IMPACT STARTUP SUMMIT 2025で紹介 ネッスー2025年10月17日
-
全地形型プラットフォーム車両「KATR」、レッドドット・デザイン賞を受賞 クボタ2025年10月17日
-
農業分野初「マッスルスーツSoft-Power」と「COOL-VEST」を同時導入 イノフィス2025年10月17日
-
伝統のやぐら干し「産直大根ぬか漬けたくあん」がグッドデザイン賞受賞 パルシステム2025年10月17日
-
鳥インフル 米モンタナ州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年10月17日