JAの活動:今さら聞けない営農情報
【今さら聞けない営農情報】第18回 土壌の改良(2) EC2019年9月13日
前回、土壌改良の基礎として「pH」の意味と改良の仕方を紹介しました。今回は、土壌の肥沃度を示す数値として知られるECについて紹介します。
1.ECを調べる
ECとは、Electrical Conductivity の略で電気伝導度といいます。土壌中には様々な物質が存在しており、その中でも作物の栄養分となる物質が塩の形で存在しています。
塩とは、酸と塩基の化合物のことをいい、肥料でいうと硫酸アンモニウムや硝酸アンモニウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウムなどがあります。塩は、水中でイオンになって電流が流れやすくなります。この電流の流れやすさを示すのがECであり、mS/cm(ミリジーメンス)、dS/m(デスジーメンス)という単位です。このECの値が大きければ大きいほど、土壌中に塩類、つまり肥料分がたくさんあることを示します。
ただし、ECは大きければ大きいほど良いわけではないことに注意が必要です。
ECが高いということは、土壌中の塩類濃度が高いことを示し、あまり高いと塩類集積と呼ばれる現象が起こっている可能性があります。塩類集積により、必要以上に塩類濃度が高くなっていると、肥料焼け(塩類濃度障害)を起こし、根がしおれたり、枯れてしまって、水分を吸収できなくなってしまいます。これは、浸透圧によって根の中の水分が、濃度の濃い土壌中に出ていってしまうために起こります。この問題は、園芸作物に対するもので水稲では起こりません。
園芸作物ごとに適正なEC値(mS/cm)は以下のとおりです。
▽黒ボク土:果菜類0.3~0.8、葉・根菜類0.2~0.6
▽沖積土・洪積土:果菜類0.2~0.7、葉・根菜類0.2~0.5
▽砂質土:果菜類0.1~0.4、葉・根菜類0.1~0.3
また、ECは、硝酸態窒素との関係が強いため、土壌中に含まれる硝酸態窒素の量を推定するときにも使います。
その推定式は、X=EC(mS/cm)、Y=硝酸態窒素量(mg/100g土)とすると、以下のとおり表せます(藤原、2008)。
▽黒ボク土:Y=38X-10
▽沖積土・洪積土:Y=44X-15
▽砂質土:Y=29X-5
2.ECの測定
土壌重量1に対して純水5倍量を加え、よく振とうして、十分に土が水中に懸濁した状態で、ECメーターにかけて計測します。
3.ECの改良
ECを低くするには、以下のような方法があります。一般に、表層土のECは高く、下層土のECは低いので、天地返しや深耕をおこなったり、ECの低い土を客土したりして土壌全体の塩類濃度を希釈します。それだけで不十分な場合には、トウモロコシやソルガムなどの肥料を良く吸収する作物(吸肥作物)を栽培し、青刈りをしてその残渣をすき込まずにほ場の外に出すことで、肥料成分を減らすことができます。
(次回はCECです)
本シリーズの一覧は以下のリンクからご覧いただけます。
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