JAの活動:今さら聞けない営農情報
【今さら聞けない営農情報・番外編】ウンカ大発生 有効な薬剤は2019年9月26日
トビイロウンカの注意報、警報が西日本を中心に発令されています。注意報を発表したのは愛知、和歌山、島根、岡山、広島、山口、香川、高知、佐賀、長崎、大分、鹿児島の12県、警報を発表したのは愛媛、福岡、熊本、宮崎の計4県に上りました(9月10時点)。
緊急防除に使用されるウンカ防除剤の需要が西日本を中心に急激に高まったようです。
ウンカには色々な種類があって、トビイロウンカ、セジロウンカ、ヒメトビウンカが主なものです。
このうち、トビイロウンカとセジロウンカは、イネにのみ寄生し、国内では越冬できず、6月下旬から7月中旬にベトナム北部から中国やタイを経由してジェット気流に乗って飛来するという特徴を持っています。
特にトビイロウンカは、飛来後の天候が高温少雨傾向になると水田内で急激に増殖し、水田内の一部分に稲を集中して吸汁し、ついには稲を枯れさせてしまう「坪枯れ症状」を起こすことが知られており、特に中晩生の品種での被害が大きくなる恐ろしい害虫です。
◆殺虫剤防除が中心に
そのため、発生が多くなると、注意報や警報が出されて緊急防除が促されるのです。
この害虫の防除は、有効な耕種的防除がありませんので、殺虫剤による防除が中心になります。近年、水稲の害虫防除は、長期持続型の有効成分を配合した育苗箱施用剤が中心となっており、育苗箱施用1回でも大半の害虫が防除でき、被害と散布労力の軽減に大きな力を発揮しています。しかし、本年のようにトビイロウンカが早生種の栽培後半(田植え80日前後・お盆の頃)に大量発生する年では、いくら長期持続型の殺虫成分といえども残効が持たず、被害が出てしまうことになります。このような場合には、水和剤やフロアブル、粉剤といった地上散布剤を水田に散布し防除することになります。
◆薬剤抵抗性ウンカが飛来
ところで、近年はベトナム北部や中国で殺虫剤抵抗性を獲得したウンカが飛来することが多く、特に育苗箱処理剤の主力成分であるネオニコチノイド系殺虫剤抵抗性を持ったウンカが飛来しています。このため、散布する殺虫剤を選ぶ際にはネオニコチノイド系を避け、有機リン系やピレスロイド系などの殺虫剤を選ぶ必要があります。ウンカ類登録のある殺虫剤を薬剤系統別に分類してみましたので、殺虫剤を選ぶ際の参考にして下さい。
ただし、表中の新規殺虫剤であるメソイオン系のゼクサロン剤(通称:ピラキサルト剤)は、育苗箱施用か側条施用でしか登録がありませんので、地上散布には使えません。
ところが、このピラキサルト剤は、箱施用であっても90日を超える残効があり、本年のような発生様相の年でも育苗箱処理1回で十分な効果を発揮する性能を持っています。しかも、ウンカが吸汁針を差し込んだら即効果を発揮するので、病害ウイルスの伝搬も防ぐことができるといった優れた特長も持っています。
このピラキサルト剤のような超長期残効が期待できる殺虫剤を配合した剤であれば、本年のようなウンカ類が後半に多くなる年であっても、育苗箱処理1回で十分な効果が期待できるのではないでしょうか。
【ウンカ剤の成分系列別殺虫剤数】
このシリーズの一覧は以下のリンクをご覧ください
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