JAの活動:今さら聞けない営農情報
【今さら聞けない営農情報】第26回 海洋プラスチックごみ2019年11月8日
今世間を騒がしている海洋プラスティックごみ。海辺に打ち上げられた海洋生物の胃の中からレジ袋が大量に見つかったニュースや、魚網に海鳥や海獣が絡まって命を落としてしまった画像など、海洋プラスチックごみが深刻化を増しています。
世界の海には、少なくとも年間800万トンのプラスチックが流出しているといわれ、リサイクルを促進し、プラスチック類の自然界への流出を防ぐことが世界に共通した緊急課題となっています。
2016年1月のダボス会議(世界経済フォーラム)では、このことを世界的規模で取り組むように採択され、各国でのプラスチック問題への取り組みが加速化しています。対応が遅れている日本でも、レジ袋の有料化が決まるなど対策が大きく進められようとしています。
ところで、海洋プラスチックごみにはどんなものがあるのでしょうか。海洋ごみは、その大きさによって、マクロプラスチック、マイクロプラスチック、さらに小さなナノプラスチックに分けられます。
マクロプラスチックには、レジ袋や魚網、プラスチック容器、農業フィルム、肥料袋などがあり、マイクロプラスチックはサイズが5ミリ以下の微細なプラスチックごみのことを指し、その生成過程によって、一次的マイクロプラスチックと二次的マイクロプラスチックとに分けられています。
一次的マイクロプラスチックは、マイクロサイズで製造されたプラスチックのことで、洗顔料や歯磨き粉等の原料に利用されるマイクロビーズや被覆肥料ポリマーなどを指し、排水溝などを通じて自然環境中に流出し、回収不可能なものです。
一方、二次的マイクロプラスチックは、大きなサイズで製造されたものが環境中で破砕されたり、分解されたりしてマイクロサイズになったものです。
マイクロプラスチックがさらに細分化され、ナノ(1 ナノ =1億分の1)レベルになったものをナノプラスチックといいます。
これらの海洋プラスチックごみは、生態系を含めた海洋環境への影響、船舶航行への障害、観光・漁業への影響、沿岸域居住環境への影響を及ぼし、近年ではマイクロプラスチックに吸着されている有害物質による生態系への影響も懸念されています。
農業分野では、廃フィルムや被覆肥料の崩壊後の殻の処理をどのようにするかが大きな課題となっています。特に被覆肥料殻は、水系を伝って海に流出することが懸念されており、早急な対応が必要となっています。
被覆肥料殻の流出防止対策として、水田内に沈下させ水田外に出さない方法の検討や生分解性を高めた原料の検討などが急ピッチで進められているとのことです。
本シリーズの一覧は以下のリンクからご覧いただけます。
【今さら聞けない営農情報】
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(159)-食料・農業・農村基本計画(1)-2025年9月13日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(76)【防除学習帖】第315回2025年9月13日
-
農薬の正しい使い方(49)【今さら聞けない営農情報】第315回2025年9月13日
-
【人事異動】JA全中(10月1日付)2025年9月12日
-
【注意報】野菜類、花き類、豆類にハスモンヨトウ 県内全域で多発のおそれ 兵庫県2025年9月12日
-
【注意報】果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 佐賀県2025年9月12日
-
【石破退陣に思う】農政も思い切りやってほしかった 立憲民主党農林漁業再生本部顧問・篠原孝衆議院議員2025年9月12日
-
【石破首相退陣に思う】破られた新しい政治への期待 国民民主党 舟山康江参議院議員2025年9月12日
-
【石破退陣に思う】農政でも「らしさ」出しきれず 衆議院農水委員会委員・やはた愛衆議院議員(れいわ新選組)2025年9月12日
-
ドローン映像解析とロボットトラクタで実証実験 労働時間削減と効率化を確認 JA帯広かわにし2025年9月12日
-
スマート農業の実践と課題を共有 音更町で研修会に150名参加2025年9月12日
-
【地域を診る】個性を生かした地域づくり 長野県栄村・高橋彦芳元村長の実践から学ぶ 京都橘大学学長 岡田知弘氏2025年9月12日
-
(452)「決定疲れ」の中での選択【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年9月12日
-
秋の味覚「やまが和栗」出荷開始 JA鹿本2025年9月12日
-
「令和7年台風第15号」農業経営収入保険の支払い期限を延長 NOSAI全国連2025年9月12日
-
成長軌道の豆乳市場「豆乳の日」前に説明会を実施 日本豆乳協会2025年9月12日
-
スマート農園を社会実装「品川ソーシャルイノベーションアクセラレーター」に採択 OYASAI2025年9月12日
-
ご当地チューハイ「寶CRAFT」<大阪泉北レモン>新発売 宝酒造2025年9月12日
-
「卵フェスin池袋2025」食べ放題チケット最終販売開始 日本たまごかけごはん研究所2025年9月12日
-
「日本酒イベントカレンダー 2025年9月版」発表 日本酒造組合中央会2025年9月12日