JAの活動:今さら聞けない営農情報
【今さら聞けない営農情報】第27回 天然は安全か?2019年11月15日
今の世の中、自然食品や無農薬野菜、天然や自然を謳い文句にした農産物が多く見受けられます。
もちろん、天然ものはすばらしいし、無農薬野菜だって作るには大変な苦労が伴い、生産者の思いが一杯詰まったものです。
ただ、天然=安全と単純に理解されるのは若干事実と異なります。
なぜなら、毒性というものは、有る無しではなく、強いか弱いかで判断されるものだからです。
例えば、毎日の食事で摂取され、体の維持に不可欠な塩。実は、塩にも毒性があって、塩のLD50値は3000mg/㎏です。このLD50値とは、半数致死量といって、ある量を一度に摂取した場合に半数が死ぬという量です。つまり、体重50キロの人であれば、150グラム(=3000mg×50)の塩を一度に摂取すれば、100人のうち50人が死んでしまうのです。つまり、人間が生きていくために必要な塩であっても毒性がある、つまり毒の一種ということになります。
でも、塩は毒だから使用を禁止にしようとはなりません。それは、人間の体にとって必要不可欠なものであるからで「塩分の取りすぎは体によくない」と適量を上手に摂取するように食べ物を工夫しています。つまり、毒であっても、きちんと摂取量を調整するようにすれば、人間に役立つものにもなるということです。
医薬品などは、まさにこの典型で、丁度よい量であれば、きちんと病気の症状を緩和してくれるのに、使用量を間違うと命の危険すら出る場合があります。それでも医薬品を禁止しようということにはなりません。利点(=人間の病気を治す)があるから、禁止せず上手に使っていこうということだと思います。
では、農業で使用する農薬の場合はどうでしょうか。
農薬は、作物を病害虫や雑草から守ってくれるという立派な利点があるにも関わらず、毒性の強弱などおかまいなしに「毒だから使うな」となっています。
世の中には、一部の医薬品や嗜好品(タバコ)、かび毒・ふぐ毒といった天然毒など、農薬よりも毒性の強いものが多々あります。農薬には、農作物の生産性・品質を向上し、労力を軽減する立派な役割や利点があります。使用方法を守って使うことで農作物の安全性は十二分に担保されていますが、どうもこれらが正しく理解されていないのが現状のようです。
今後は、農業関係者が機会あるごとに消費者に以上のようなことを伝え、消費者等に正しく理解されるようにしていく必要があるのではないかと思います。
本シリーズの一覧は以下のリンクからご覧いただけます。
【今さら聞けない営農情報】
重要な記事
最新の記事
-
【人事異動】JA全農(2025年1月1日付)2024年11月21日
-
【地域を診る】調査なくして政策なし 統計数字の落とし穴 京都橘大学教授 岡田知弘氏2024年11月21日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】国家戦略の欠如2024年11月21日
-
加藤一二三さんの詰め将棋連載がギネス世界記録に認定 『家の光』に65年62日掲載2024年11月21日
-
地域の活性化で「酪農危機」突破を 全農酪農経営体験発表会2024年11月21日
-
全農いわて 24年産米仮渡金(JA概算金)、追加支払い2000円 「販売環境好転、生産者に還元」2024年11月21日
-
鳥インフル ポーランドからの家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年11月21日
-
鳥インフル カナダからの生きた家きん、家きん肉等の輸入を一時停止 農水省2024年11月21日
-
JAあつぎとJAいちかわが連携協定 都市近郊農協同士 特産物販売や人的交流でタッグ2024年11月21日
-
どぶろくから酒、ビールへ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第317回2024年11月21日
-
JA三井ストラテジックパートナーズが営業開始 パートナー戦略を加速 JA三井リース2024年11月21日
-
【役員人事】協友アグリ(1月29日付)2024年11月21日
-
畜産から生まれる電気 発電所からリアルタイム配信 パルシステム東京2024年11月21日
-
積寒地でもスニーカーの歩きやすさ 防寒ブーツ「モントレ MB-799」発売 アキレス2024年11月21日
-
滋賀県「女性農業者学びのミニ講座」刈払機の使い方とメンテナンスを伝授 農機具王2024年11月21日
-
オーガニック日本茶を増やす「Ochanowa」有機JAS認証を取得 マイファーム2024年11月21日
-
11月29日「いい肉を当てよう 近江牛ガチャ」初開催 ここ滋賀2024年11月21日
-
「紅まどんな」解禁 愛媛県産かんきつ3品種「紅コレクション」各地でコラボ開始2024年11月21日
-
ベトナム南部における販売協力 トーモク2024年11月21日
-
有機EL発光材料の量産体制構築へ Kyuluxと資本業務提携契約を締結 日本曹達2024年11月21日