JAの活動:今さら聞けない営農情報
【今さら聞けない営農情報】第35回 連作障害2020年1月17日
野菜の大産地などで同じ作物を作り続けていると必ず発生し問題となる連作障害。これは一体何なのでしょうか?
野菜の大産地などでは、需要者の注文に応えるために生産量を保つ必要があるため、同じほ場で同じ作物を作り続けなければならないことも多くあります。その結果、何年かすると何等かの障害が起こり、作物の収量や品質が大幅に低下するようになります。このことを連作障害と呼んでいます。
このやっかいな連作障害の主な原因は何なんでしょうか?
その原因は主に2つほどあります。
1つは、作物の根から出るアレロパシーと呼ばれる生育阻害物質で、特定の作物を作付けし続けることでその物質が土壌に溜り、それが生育の邪魔をしてしまうことです。
もう1つは、特定の土壌病害虫が優占化するためです。なぜ優優占化するかというと、連作で特定の農作物が供給され続けることによって、その作物を好む土壌病害虫が他の土壌微生物や昆虫たちとの競争に打ち勝ち、大量に増殖するためです。
人間の腸内も、悪玉菌が増える食事や生活習慣を続けると悪玉菌の密度が善玉菌よりも増え、人間の体に障害が起こってしまうことに似ています。
では、連作障害はどのようにすれば回避できるのでしょうか?
それは、土壌中に有害物質が蓄積したり、土壌病害虫を優先化させないようにすればいいので、同じほ場に同じ作物を連続で作付けしない(最低2~3年)ようにすれば、連作障害は回避できます。また、土壌改良剤を入れたりして土質を改善すると良い場合もありますが、一番よい方法は、一つのほ場に科が異なる作物をおよそ2~3年の輪番で作付けすること、つまり輪作です。
ただし、アブラナ科野菜根こぶ病など5年ほどの長期間、あける必要があるので、作付けする作物によってはほ場のローテーションを入念に検討します。
ただし、大産地では出荷量を確保するためにどうしても間をあけることが難しい場合もあります。そのような場合には、抵抗性品種の活用や湛水化、太陽熱消毒などの耕種的防除法や土壌消毒などが必要になってきます。ただ、連作障害を防ぐためには、幾つか組み合わせ可能な方法を複数行うようにするとより効果的なようです。
次回、連作障害回避のための耕種的防除法や土壌消毒の方法を紹介します。
本シリーズの一覧は以下のリンクからご覧いただけます。
【今さら聞けない営農情報】
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