JAの活動:今さら聞けない営農情報
【今さら聞けない営農情報】第42回 残効と耐雨性2020年3月6日
農家などに、「この農薬はどのくらいの期間効いてくれるの?」と聞かれることはありませんか。
このことを示すのが残効性です。
残効性とは文字通り、農薬の効果が残る期間、つまり効果がどのくらい持続するかを示したもの。1度散布して長期間効果が持続するものを「残効が長い」と表現しています。
一般的に、低成分で効果を発揮する浸透性の薬剤や作物表面を覆って固着するタイプの薬剤の残効性が長くなります。
残効性の長さは、薬剤によってまちまちであくまで目安ですが、短いといわれるものは1週間程度、中くらいが長くて2週間程度、3週間以上になると長いといわれます。
最近登場している長期持続型の箱処理剤などは、60日以上の残効を示すものも登場しています。
農薬による防除では、耐性菌や抵抗性害虫の発生を防ぐために有効成分の系統の異なるものをローテーション散布することが有効とされていますが、残効性は、そのローテーション散布の時などに、どのくらいの期間をおいて次の薬剤を散布するかを決めるときの目安になります。
使用している農薬の残効期間を取り扱い説明書などでよく確認し、散布感覚を決めるとよいです。
JAなどから提供されている防除暦は、この残効性を考慮して散布する薬剤が決められていますので、防除暦に従って散布するのが一番効率的な防除ができます。
残効性と同様に防除のタイミングを計る際に必要なものに耐雨性があります。
農薬は作物に散布されると、作物表面に拡散して覆い、あるいは作物体内に浸透して効果を発揮します。このため、散布された後、いかにしっかりと作物表面に有効成分が付着できるかが効果を発揮するための鍵となります。水和剤やフロアブルなど希釈して散布するタイプの薬剤は、散布直後に液状のもので作物表面が濡れた状態になっています。この濡れた状態が乾燥してはじめて作物表面にしっかりと付着することができます。
ところが、散布後に雨が降ると、当然ながら作物表面を覆っている薬剤は洗い流されてしまいます。耐雨性とは、雨にあたっても、作物上から洗い流されないように耐えることをいいます。一般にジチオカーバメートなど保護殺菌剤と呼ばれている農薬は耐雨性が強いと言われています。
しかし、耐雨性のある薬剤でも雨量が多かったりすると流されますので、一定の雨量が降ったら追加散布が必要になります。特にカンキツ黒点病は、雨媒伝染するため、雨の多い季節には一定の雨量(300ミリ程度)を経過すると追加散布が必要になります。
このため、薬剤の耐雨性をよく確認し、それと降雨状況を照らし合わせて次の散布を行うようにする必要があります。
蛇足ですが、乾燥する前に雨が降ったりすると、せっかく散布された薬剤が洗い流され、十分な効果を発揮できないことになりますので、天気予報などに十分注意して、散布後薬剤が乾燥する前に雨が降らないように散布タイミングを注意する必要があります。
浸透移行性(作物体内へ吸収される性能)がある薬剤でも、散布後3時間は雨にあたらないようにしないと効力が低下してしまうので、散布前後の気象には十分に注意が必要です。
本シリーズの一覧は以下のリンクからご覧いただけます。
【今さら聞けない営農情報】
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