JAの活動:今さら聞けない営農情報
【今さら聞けない営農情報】第45回 残留農薬基準と安全使用基準2020年3月27日
かつて、無登録農薬問題や輸入農産物の残留基準値超過など、食の安全を揺るがす問題が発生し、それに対応するために、農薬取締法が改正されたり、食品衛生法の改正によりポジティブリスト制度が導入されました。おかげで、国産、輸入を問わず、農産物の安全性が担保されるようになりました。
その安全を担保する仕組みの大本になるのが、残留農薬基準です。
残留農薬基準は、食品衛生法に基づいて定めた食品規格で、「この規格に合わない食品の製造、加工、販売、使用はしてはならない」ということになっています。これは、農作物に農薬が残留したとしても、人が一生涯摂取し続けて何ら健康に悪影響を与えない水準として定められ、個別の農産物ごとに使われる、農薬一つひとつに、「その定められた濃度を超えて残留してはいけません」という形で規制されます。
もし、残留農薬基準をオーバーした場合は、出荷前であれば廃棄しなければならず、すでに出荷されている場合は、回収して廃棄しなければなりません。
残留農薬基準は、国内で農薬登録を取得しているものは、すべて基準値が定められていますが、国内の基準値が定められていない農薬を使った海外農産物があった場合、その農薬には、一律基準(0.01ppm)が適用され、この基準を超えた農産物は流通させることができません。
この0.01ppmという数値は、有効成分が20%の農薬水和剤の1000倍液を散布した場合を例に取ると、その散布液は200ppmという濃度になり、それが農産物に散布されることになります。 この濃度で散布された農薬が0.01ppmを超えて残留しないようにするためには、2万分の1まで薄まるようにしなければならず、基準をクリアするにはかなり厳しい基準であるといわれています。
このため、農薬はその有効成分の特性(半減期間、散布時期、効果の出る濃度など)に合致した残留農薬基準を定めるよう、様々な残留試験を繰り返してデータを蓄積しています。
一方、安全使用基準は、農薬取締法によって定められ、農作物に使用した農薬が、残留農薬基準を超えないように、使用方法(希釈倍数、量、使用時期、使用回数など)が定められています。その「安全使用基準」を守って正しく使用すれば、残留農薬基準を超えて農作物に残留することはなく、農薬を使って生産した農作物の安全性が保証されるのです。
本シリーズの一覧は以下のリンクからご覧いただけます。
【今さら聞けない営農情報】
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