JAの活動:今さら聞けない営農情報
【今さら聞けない営農情報】第47回 土づくり2020年4月10日
「最近どうも収量が上がらず、品質が悪くなった」という声を聞くことはありませんか? これは昔、肥料価格が高騰した時に、経費節減のため真っ先に腐食資材や含鉄資材などの土づくり肥料が割愛されてしまい、その影響がボデーブローのように近年顕在化してきているとのことです。
農産物価格が低迷している中、生産資材の削減は致し方ない面もあるのですが、土づくり資材を割愛することにより、全国各地でこれまで保っていた地力がだんだん失われてきているようです。
実際に、土づくり資材を再開した水田では、収量や品質が格段に向上した事例も多く出ていますので、もし、心当たりがある場合には、土壌分析を行い、足りないものを補う土づくりを是非お試し下さい。
作物はいうまでもなく、土を介して根から養分を吸収して生育していますので、豊かな収穫を得るには良い土をつくることが絶対条件になります。
良い土とは、つくる作物によって条件が異なりますが、一般的には、(1)十分に根が張れる柔らかさがある、(2)通気性と排水性がよい、(3)水持ちがよく、肥料をよく保つことができる、(4)適正なpH(中性からやや酸性)、(5)微生物が多い、(6)腐植に富む、(7)異物の混入などがなくきれいである といった条件があげられます。
これらの良い土の条件のどれかが、満たされていなければ、それを補ってあげるのが土づくりです。
では、土づくりはどのような方法で行うのでしょうか? おおよそ次のような手順で行うのが基本です。収量不足に悩むような場合には是非お試し下さい。
(1)養分補給
まず、土壌分析を行い土壌中に含まれる栄養分の量を把握します。その上で、窒素、リン酸、カリウム、カルシウム、マグネシウムといった主要要素や鉄やマンガンなどの微量要素を、つくる作物に合わせて足りない分を補います。その際、作物別の栽培暦などに成分ごとの施用量を守るようにして下さい。
(2)pHの調整
作物によって適正なpHが異なりますので、土壌分析結果に基づきpH調整を行います。土壌が酸性(pH値が7より小さい)の場合は、消石灰や苦土石灰、有機石灰、石灰窒素といった石灰を含む資材を投入することで中和することができます。石灰窒素は、副次的に根こぶ病の防除にも効果があるので、アブラナ科野菜の作付で根こぶ病に困っている場合には、是非pHの矯正を行って下さい。
アルカリ性(pH値が7より大きい)の土壌を中和する場合は、硫黄華やピートモス、鹿沼土の細粒を施します。
(3)有機物の施用
水はけが良く通気性が良い土壌は、根の環境を良くし、作物の生育も良くなります。
このような土壌は、有機物を施用することによってつくられ、有機物を栄養源とする微生物の働きで細かい土壌粒子が結びつき固まる団粒化が起きます。この団粒が多くなると土壌中にすき間ができるようになり、結果として通気性や排水性が良くなるのです。
主な有機物資材は、ナタネ粕や大豆粕、堆肥ですが、特に堆肥は毎年施用するようにしたいものです。堆肥には、牛糞堆肥や乾燥鶏糞、腐葉土、バーク堆肥などがあり、作物や目的に合わせて施用して下さい。
本シリーズの一覧は以下のリンクからご覧いただけます。
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