JAの活動:今さら聞けない営農情報
【今さら聞けない営農情報】第49回 作物の生理障害Ⅰ2020年4月24日
作物は、自身を取り巻く環境から様々な影響を受けます。
例えば、作物の生育に必須な要素である窒素が土壌中に不足していると、作物が黄化したり、全体の生育が悪くなるといった症状が発生します。このように、作物の生育環境の生育への不適化に応じて発生する障害を総称して「生理障害」と呼んでいます。
生理障害には大きく分けて、(1)窒素の例のように生育に必要な要素が過不足する場合(要素障害)、(2)散布した農薬によって生じる場合(薬害)、(3)日照不足や異常高温など不適な栽培環境の発生による場合(環境障害)の3つがあります。
今回から数回に分けて、それぞれの発生原因と対処法についてご紹介してまいります。その第一弾は要素障害です。
1.要素障害発生のメカニズム
作物は、根から土壌中の様々な栄養(要素)を吸収して生育しますので、土壌中に必要な要素が不足したり過剰であったりすると障害が発生し正常に生育できません。
この要素障害は、要素ごとに異なる症状を示し、圃場全体や一部肥培管理を誤ってしまった場所など、特定の条件が当てはまる特定の場所に発生する傾向があります。
要素障害は、要素ごとに規則性があり、葉位順に強弱が現れます。
例えば、作物体内で移動しやすい要素(窒素、リン、カリウム、マグネシウム、)は、根から吸われた要素が先端葉や上位葉、新葉に集まりやすいため、下位葉から欠乏症状が起こります。
反対に、作物体内で移動しにくい要素(カルシウム、鉄、ホウ素、マンガン、銅、亜鉛)は、根から吸われた要素が上位に届きにくくなるため、上位葉に欠乏症状が出やすくなります。
また、金属の要素では、作物に吸収されやすい形態であるイオンへのなりやすさ(イオン化傾向という)が欠乏症に関係しています。例えば、銅や亜鉛が多く含まれる土壌の場合は、銅や亜鉛よりもイオンになりにくい鉄が鉄イオンになりにくくなり、結果として作物が吸収できる鉄イオンが減るため、鉄の欠乏症が起こりやすくなります。
一方過剰症は、下位葉から障害が出始めることが多くなります。
2.要素障害の改善方法
要素障害改善の基本は、原因となっている要因を取り除いてあげることです。
欠乏症であれば足りない要素を足し、過剰であれば、施肥量を減らしたりクリーニングクロップ(特定の要素を吸収しやすい作物)を栽培し、過剰となっている要素を減らす対策を施します。
具体的な方法は、原因要素ごとに対策が異なりますので、整理して次回ご紹介します。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(130)-改正食料・農業・農村基本法(16)-2025年2月22日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(47)【防除学習帖】第286回2025年2月22日
-
農薬の正しい使い方(20)【今さら聞けない営農情報】第286回2025年2月22日
-
全76レシピ『JA全農さんと考えた 地味弁』宝島社から25日発売2025年2月21日
-
【人事異動】農林中央金庫(4月1日付)2025年2月21日
-
農林中金 新理事長に北林氏 4月1日新体制2025年2月21日
-
大分いちご果実品評会・即売会開催 大分県いちご販売強化対策協議会2025年2月21日
-
大分県内の大型量販店で「甘太くんロードショー」開催 JAおおいた2025年2月21日
-
JAいわて平泉産「いちごフェア」を開催 みのるダイニング2025年2月21日
-
JA新いわて産「寒じめほうれんそう」予約受付中 JAタウン「いわて純情セレクト」2025年2月21日
-
「あきたフレッシュ大使」募集中! あきた園芸戦略対策協議会2025年2月21日
-
「eat AKITA プロジェクト」キックオフイベントを開催 JA全農あきた2025年2月21日
-
【人事異動】農林中央金庫(4月1日付、6月26日付)2025年2月21日
-
農業の構造改革に貢献できる組織に 江藤農相が農中に期待2025年2月21日
-
米の過去最高値 目詰まりの証左 米自体は間違いなくある 江藤農相2025年2月21日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】有明海漁業の危機~既存漁家の排除ありき2025年2月21日
-
村・町に続く中小都市そして大都市の過疎(?)化【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第329回2025年2月21日
-
(423)訪日外国人の行動とコメ【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年2月21日
-
【次期酪肉近論議】畜産部会、飼料自給へ 課題噴出戸数減で経営安定対策も不十分2025年2月21日
-
「消えた米21万トン」どこに フリマへの出品も物議 備蓄米放出で米価は2025年2月21日