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JAの活動:今さら聞けない営農情報

コンプライアンス8 農薬取締法その7【今さら聞けない営農情報】第66回2020年8月28日

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農薬取締法その7です。

農薬取締法は、農薬残留基準値を超えない正しい使い方ができるように、使用基準として、用法・用量・使用回数・収穫前使用日数等を定めています。

なので、使用基準を守って使用していれば、農薬残留基準値を超過することはありませんが、残念ながら、基準値超過事例が毎年発生しています。その原因は、人為的なミスがほとんどであり、起こり得るリスクをよく理解していれば防げるものばかりです。前回までに、登録外使用と散布器具の洗浄不足、ドリフト、散布回数超過を紹介しましたので、今回は、収穫前使用日数ついて紹介します。

前回ご紹介したように収穫前使用日数は、作物残留試験結果とADI(一日摂取許容量)から適切な基準を割り出します。

作物残留試験とは、登録を取ろうとする作物に実際に散布した時、散布後何日でどのくらいの濃度になっているか? など、作物体内の農薬濃度がどのように減っていくかを調べるものでした。収穫前使用日数は、散布後にどのくらいの日数で定められたADI未満にまで下がるかを残留試験データで確認して決定します。

では、収穫前使用日数の間違いはどのようにして起こるのでしょうか?

一番多いのがラベルの確認不足と思い込みです。

農薬の登録内容は、農薬登録制度の変更(登録に必要なデータの見直しや追加など)が行われることがあり、登録更新の際には新しい制度でのデータ取得が求められます。その際に、農薬の有効成分によっては、新制度に準拠するために農薬の登録内容を変更しなければならない場合があり、例えば「収穫前日まで」が「収穫3日前まで」といった具合に収穫前使用日数の変更が起こることがあります。農薬製品の有効成分は3年~5年ですので、登録変更の時期によっては、変更前のラベルが貼付された農薬製品が農家の手元にあることがあります。

農薬はラベル主義ですので、行政指導により使用が禁止された場合を除けば、製品の有効期限内であれば貼付されている農薬ラベルに従っていれば使用しても問題ありませんが、新しいラベルが貼付された農薬製品を、変更前の登録内容が頭に入っている農家が手にした場合、前の登録内容で使用してしまう可能性があるのです。

つまり「収穫3日前まで」に変更されている農薬を、「今まで収穫前日まで使用できていた農薬なので大丈夫!と、いつもどおりに何の疑いもなく収穫前日に使ってしまった。」ということが起こるのです。

これを防ぐため、農薬メーカーはJA等と協力して、登録変更があった場合には新しいラベルを知らせるチラシを添付するなどして農家に注意を促すのですが、残念ながらそれが行き届かない場合もあります。

このため、使用者側も、「農薬は毎回使用前にラベルを必ず確認する」、「いつも使っている農薬であっても、使用前に必ず農薬ラベルを確認する」ことを心がけ、意図せずに農薬取締法違反になってしまうことを未然に防ぎましょう。
その他、収穫時期が違う同じ作物を同一ほ場に作付けしており、そのほ場全体に農薬散布を行った場合、収穫前使用日数違反が発生する場合があります。

例えば、散布翌日と散布5日後の収穫予定となっている作物が畝を違えて同一ほ場に作付されているほ場に対して収穫前使用日数が3日前の農薬を散布した場合、散布5日後に収穫するものは問題ありませんが、散布翌日に収穫するものは、収穫前使用日数違反となりますので、散布前に作物の収穫予定を確実に確認しておく必要があります。

このシリーズの一覧は以下のリンクをご覧ください

いまさら聞けない営農情報
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