JAの活動:今さら聞けない営農情報
コンプライアンス13 肥料取締法その5【今さら聞けない営農情報】第71回2020年10月2日
肥料取締法は、令和2年12月に「肥料の品質確保等に関する法律、略して肥料法」として生まれ変わる予定です。
これによって何が変わるのかをちょっと紐解いてみます。
まず、配合規制の見直しです。
現行の肥料取締法では、公定規格が設定されている登録肥料に特殊肥料(堆肥)や土壌改良資材(ゼオライト等)を混合した肥料は、生産も流通もできませんでした。
これが、今回の改正によって、これまで別々に施用していた堆肥類と化成肥料を混合した肥料をつくることで、堆肥と化成肥料を分けることなく同時に施用できるようになります。これによって、施肥回数を減らすことができるようになります。また、堆肥を活用しやすくなるため、生産者の多様なニーズに応じた肥料の生産や施用が可能になります。
土壌改良資材も同様で、これまで別々に行っていた土づくりと施肥を、土壌改良資材入り化成肥料をつくることによって、土壌の状態に連動した土づくりと施肥が同時に行われるようになります。また、土壌改良資材と化成肥料の両方に含まれる成分が過剰に施用されることを避けることができるため、施肥コストの低減につながることも期待されています。
また、性能が異なる堆肥同志(例えば、牛糞と鶏糞など)の混合もできるようになるため、肥料成分の調整を異なる堆肥を混ぜ合わせてできるようになります。
次に、原料管理制度の導入です。食品製造残渣など産業副産物や有機質肥料など、新たな肥料原料を確保しつつ、安全性の高い肥料の生産につながります。日本では、肥料原料の99%を輸入に頼っており、国内で調達できる肥料原料が増えることは輸入コストやリスクを低減することにつながります。
最後に、表示の見直しです。今回の改正によって、肥料の品質や機能に関する情報が明記されるようになり、生産者が正しい肥料製品情報を得て、効率の良い施肥を行いやすくなります。
これらの変更に沿った形で公定規格も見直され、より自由度の高い肥料製品の製造が可能になることが期待されています。
ただし、これらの改正が低コストや生産者ニーズに合致するといったことに結び付き、営農に役立ち、農産物への影響がなく、新たなリスクの発生につながらないように配慮されることが大前提になります。
改正肥料取締法の主な内容と施行時期
改定内容 交付(一部予定) 施行(一部予定) 登録・仮登録取り消し後の再登録の制限 2019年12月 2019年12月 表示の見直し
・包材表示の簡素化(動物由来たん白質関連) 2020年2月 2020年4月 配合規制の見直し
・品質低下しない配合の組み合わせ
・指定配合肥料の加工方法 2020年8月 2020年12月 法律名の変更
「肥料の品質の確保等に関する法律」
(略称:肥料法) 表示の見直し
・包材表示の簡素化(原料等) 原料管理制度の導入
・原料規格
・帳簿の備付け
・虚偽宣伝の禁止 2020年12月 2021年12月 表示基準の設定 公定規格の見直し
・規格統合・簡素化
・成分濃度の規格引下げ
・微量要素等の表示
重要な記事
最新の記事
-
政府備蓄米、入札量の9割落札 JA福井県 価格低下は限定的か2025年3月12日
-
農協シリーズからモナカアイス「北海道ミルク」「京都宇治抹茶」新登場 JA全農2025年3月12日
-
抹茶・粉末茶に適した新品種「せいめい」育成と増産態勢確立 開発成果を公表 生研支援センター2025年3月12日
-
農福連携取り組み農家と「Otemachi Deli マルシェ」初参加 ファミリーマート2025年3月12日
-
鳥取県に2店舗目「カインズ日吉津店」12日グランドオープン2025年3月12日
-
【全中・JA経営ビジョンセミナー】伊那食品工業で「年輪経営」を視察 年間まとめ、参加者の報告も交流(1)2025年3月11日
-
【全中・JA経営ビジョンセミナー】伊那食品工業で「年輪経営」を視察 年間まとめ、参加者の報告も交流(2)2025年3月11日
-
【地域を診る】東日本大震災から14年 被災地で学んだこと 協同の意義 現場で痛感 京都橘大学教授 岡田知弘氏2025年3月11日
-
JA全青協 新年度会長に北川副会長を選任2025年3月11日
-
理事長に小川良介前農林水産審議官 JA共済総研2025年3月11日
-
福島など被災地「農林水産業の先進地域へと支援」 江藤農相2025年3月11日
-
第二の備蓄米「飼料用米」から主食用米への転用は可能か?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年3月11日
-
オリジナルハンカチをプレゼント 「いわて純情セレクト」対象商品購入で JA全農いわて2025年3月11日
-
「JA全農杯全国小学生選抜サッカー大会」北信越代表チームは「長岡JYFC U‐12」2025年3月11日
-
岩手県大船渡市の山林火災被害の自賠責共済で特別措置 JA共済連2025年3月11日
-
「農中森力(もりぢから)基金」第11回の助成6案件を決定 農林中金2025年3月11日
-
農文協 創立85周年の記念出版『みんなの有機農業技術大事典』発売2025年3月11日
-
健康経営優良法人2025 大規模法人部門 ホワイト500に認定 カゴメ2025年3月11日
-
ローソン「栃木美味しいもの巡り」 ご当地の味が楽しめる8品を発売2025年3月11日
-
ハンガリー産およびスロバキア産偶蹄類由来製品等 輸入を一時停止 農水省2025年3月11日