JAの活動:今さら聞けない営農情報
コンプライアンス18 労働基準法2【今さら聞けない営農情報】第77回2020年11月14日
労働力不足は全産業的に問題となっていますが、農業では高齢化もあいまって、より深刻な状況です。労働力不足を補うためには、外部労働力に頼ることが多くなりますが、外部労働力は大きく分けて派遣、業務(作業)委託、外国人技能実習生の3つがあります。これらの違いは、主に指揮命令系統と雇用責任の在り方にあります。
まず派遣ですが、文字通り人材を派遣してもらうことです。派遣会社と使用者(農家)が派遣契約を結び、派遣会社から作業者を派遣してもらいます。この場合、作業内容等の細かい指示は、使用者が作業者に直接指示でき、作業者は、農家の指示のもと農作業を行います。
作業者の労働者としての身分は、派遣会社と雇用契約を結ぶことで保証されており、社会保険など作業者の雇用条件を守る責任は派遣会社にあります。このため、使用者(農家)は、派遣契約(労働時間などの労働条件の取り決め)を守る必要がありますが、保険を掛けたり、手当の支給といった一般的な雇用者としての責任はありません。その分は、派遣会社が派遣料に上乗せして請求してくることになりますので、直接雇用するよりも時給が高くなります。
一方、業務(作業)委託は、文字どおり作業自体を丸ごとお願いすることです。例えば、「バレイショの収穫作業」、「畑の耕起作業」などといった、農作業の一部を丸ごと受託者(委託先)にお願いします。
使用者(農家)は、委託先(受託者)の代表者に作業内容を指示し、委託先の責任者が委託先所属の作業者を使って指示内容の農作業を行います。この場合、作業者の作業の仕方などが気に入らなくても、使用者(農家)が作業者に直接指示したりすることはできません。気に入らない作業内容があったら、委託先の責任者に改善を申し入れ、責任者が作業者に指示して改善させる必要があります。この部分が、派遣と業務(作業)委託の大きな違いになります。作業者の雇用上の責任は、派遣と同様に委託先にあります。言い換えれば、委託先は作業を請け負ったら、自前で作業員を用意して作業をさせ、依頼された作業を使用者(農家)の求める品質で完成させなければならない義務があります。
以上を簡単に整理すると以下の表のとおりになりますが、今回紹介できなかった外国人技能実習生については次回紹介します。
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