JAの活動:JAアクセラレーターがめざすもの
未来志向で農業の課題解決へ-JAアクセラレーター第2期成果発表会(1)2020年11月17日
(一社)アグベンチャーラボは11月12日、JAアクセラレータープログラムの第2期の成果発表会を開催した。日本の農業の抱える課題に新たな発想で取り組もうと第2期に採択されたスタートアップ企業8社が180日間の取り組みを報告した。
JAアクセラレータープログラムは、JAグループの資源をスタートアップ企業に提供し、農業や地域社会が抱える問題の解決をめざして新たなビジネスを協創するJAグループのオープンイノベーション活動。第2期は「食と農とくらしのイノベーション」をキーワードに161件の応募のなかから8社のスタートアップ企業が採択された。この日は採択から約6か月間にわたり、JA全農、農林中金職員ら伴走者の支援を受けてビジネスプランをブラッシュアップし実践につなげた成果を発表した。
荻野浩輝代表理事は今期はコロナ禍でオンラインでの情報交換や活動支援などを余儀なくされたが、「かえってネットワークが広がった」とし、この成果発表会もオフラインとオンラインのハイブリッドで発信するという新たな取り組みにつながったことを指摘、改めてJAグループの職員がスタートアップ企業を支援してイノベーションを生み出すJAアクセラレータープログラムの意義を強調した。
荻野浩輝代表理事
◆労働力不足にスポット派遣
(株)シェアグリは特定技能人材を産地が必要とする農繁期にスポット派遣する事業を立ち上げた。今年はJA嬬恋村、JA太田市をはじめJA中央会とも連携して各地の労働力不足解消に貢献した。来年の派遣も産地から依頼されているという。スポット派遣のメリットは特定の産地で農作業経験を積むため、働く人材の専門性を高めると同時に、「特産品の拡大に力を入れるなど特色ある産地づくりにも貢献できる」と井出飛悠人代表取締役は話す。
講評でJA全農の山崎周二理事長は「時代のニーズに即した事業。コロナ禍という厳しい状況でも中央会、JAと連携して成果を挙げた。今後の広がりに期待したい」と述べた。
(株)シェアグリ 井出飛悠人代表取締役
(紹介記事)
労働力不足解消へ 派遣事業で人材シェア
◆ドローンで過疎地に貢献
(株)トルビズオンはドローン航行のための「空の道」の整備の事業化に取り組む。将来を見据え過疎地など農村部の上空にJAを拠点にドローンを航行させ、農畜産物の輸送や農地巡回などの事業をめざす。そのために農地の所有者である組合員の空中使用権の明確化と保全をはかる仕組みを作った。増本衛代表取締役社長は「農家の権利保護と営農支援をしっかりしていきたい」と話す。山崎理事長は「地域のJAと行政と一体となり全国に取り組みが広がることを期待したい」と話した。
(株)トルビズオン 増本衛CEO
(紹介記事)
ドローンで「空の道」作り農業・農村を活性化
◆画期的な収穫ロボット
AGRIST(株)は、ハウスの天井部に設置したワイヤーにロボットを吊り下げ、巡回しながらピーマンを収穫するロボットを開発した。労働力不足に悲鳴を上げ、完璧ではなくても安くて手助けになるロボットを、という「農家の『ペイン』から生まれたと高橋慶彦取締役COO。青年部組織とのつながりも生まれ来年秋から各地で実証試験が始まる。「収穫革命で世界貢献したい」。山崎理事長は「現場目線で開発した画期的で完成度も高い。本格普及が待たれる」と期待を寄せた。
AGRIST 高橋慶彦取締役COO
(紹介記事)
AIと収穫ロボットで人手不足を解決
◆データ「見える化」で経営に貢献
テラスマイル(株)は営農情報のさまざまなデータを「見える化」する農業情報基盤、RightARMを作成した。これを活用し、どの品目をいつ、どれだけ作り、どの市場に出荷すればどれだけの収益となるかなどが「見える」。農業のデジタル化を進め「産地強化で時代を一歩前に」と生駒祐一代表取締役は話す。山崎理事長は「農家経営の効率化をサポート。Z-GISとの連携も視野に入れJAグループとともに農家経営、生産部会を支えていってほしい」と述べた。
テラスマイル 生駒祐一代表取締役
(紹介記事)
「見える化」で生産者応援
※※山崎周二理事長の「崎」の字は本来異体字です。
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