JAの活動:今さら聞けない営農情報
SDGs 12【今さら聞けない営農情報】第91回2021年2月27日
17のゴールと169のターゲットが定められたSDGs。「行動の10年」として、国民一人ひとりにできることをしっかりと考え、一歩踏み出す姿勢が求められています。「いまさら聞けない営農情報」では、SDGsのうち農業に関係する項目について、農業関係者がどのように取り組んだらいいのかを考察しています。
今回は、SDGsゴール11番目「住み続けられるまちづくりを」を紹介します。
このゴールの意味は、「都市と人間の居住地を包摂的、安全、強靭かつ持続可能にする」で、10のターゲットがあります。
このターゲットの概要は表のとおりですが、一見農業に関連するものはなさそうですが、農業が積極的に関与した方がよさそうなターゲットが3つあります。
まず、11.4「世界の文化遺産及び自然遺産の保護・保全の努力を強化する。」ターゲットです。農業関連で世界文化遺産になっているものの代表に棚田があります。中国やフィリピンの棚田が有名ですが、同じアジアモンスーン地域に属する日本にも、春日の棚田(長崎県平戸市)など素晴らしい棚田が残っています。ただ、近年は高齢化と労働力減少に伴い、国内のどの棚田もその景観を維持するのが難しい状況になっています。何とか知恵を絞り、この美しい棚田を残す努力を行うことは、SDGsを推進することになります。
次に、11.5「2030年までに、貧困層及び脆弱な立場にある人々の保護に焦点をあてながら、水関連災害などの災害による死者や被災者数を大幅に削減し、世界の国内総生産比で直接的経済損失を大幅に減らす。」です。
近年の気候変動により、想定外の雨量による洪水が毎年どこかで起こっています。これらを防ぐ手立てを行うことがSDGsに取り組むことになり、農業にもできることがあります。それは、水田の保全です。水田の治水能力は国も認めているところですが、残念ながら米価下落、高齢化による担い手不足、米の輸入拡大などに伴い、水田面積が減少の一途を辿っており、毎年、大きな面積の水田が失われています。治水という素晴らしい機能を維持するために、生産調整で減反と行うより、治水のための水田面積維持・拡大を行うべきなのではないでしょうか。これを行うには、国の省庁をまたがった取り組みが必要となるため、一朝一夕には実現できませんが、SDGsの実現をという大きな流れにのって、国家事業として何とか取り組んでもらえることを願っています。
最後に、11.a「各国・地域規模の開発計画の強化を通じて、経済、社会、環境面における都市部、都市周辺部及び農村部間の良好なつながりを支援する。」です。
このターゲットは、都市部がコロナ禍で仕事不足に疲弊している現在だからこそ、大きな一歩を進めることができます。なぜなら、農業労働力不足に悩む農業と、コロナ禍で仕事がなくて困っている都市部の労働力をうまくマッチングすることができる大きなチャンスだからです。国や全農なども農業労働力支援に向けた取り組みを加速おり、それらの取り組みが農業界全体の取り組みへと発展し、SDGsの実現に一役かってほしいと願っています。
重要な記事
最新の記事
-
米価 過去10年で最高値 60kg1万5865円 対前年比114%2024年7月17日
-
【東京農業大学鼎談】実学主義の価値(2)DX戦略にも地域色拡充2024年7月17日
-
【東京農業大学鼎談】実学主義の価値(3)JAは食・農の好循環先導を2024年7月17日
-
「小さな協同」実践 JA松本ハイランドの自己改革 新世紀JA研究会全国セミナー2024年7月17日
-
「きっトラ」と「もし寅」【小松泰信・地方の眼力】2024年7月17日
-
【訃報】生活クラブ生協連の加藤好一顧問が逝去2024年7月17日
-
【人事異動】農水省(7月16日付)2024年7月17日
-
【注意報】ナシ、ブドウなどに果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 三重県2024年7月17日
-
ガチャピン・ムックとコラボ「ニッポンエール」グミ発売 JA全農2024年7月17日
-
日本農業の未来をけん引する人材育成へ 宮城県加美農業高校とNTT東日本グループが連携2024年7月17日
-
唐沢農機サービス「夏の大展示会」開催 200台を超える農機具を展示2024年7月17日
-
【注意報】大型斑点米カメムシ類、カスミカメムシ類による斑点米発生に注意 千葉県2024年7月17日
-
【注意報】水稲に斑点米カメムシ類 県下全域で多発のおそれ 岩手県2024年7月17日
-
「第3回 全国桃選手権」開催 全国から45品がエントリー 日本野菜ソムリエ協会2024年7月17日
-
ハウス栽培向け環境制御システムのラインアップを拡充 クボタ2024年7月17日
-
【役員人事】石巻埠頭サイロ(4月1日付)2024年7月17日
-
葉の光合成速度の低コスト・低労力・高速推定法を開発 農研機構2024年7月17日
-
表参道で佐賀県産「いちごさん」絶品ひんやりスイーツ「いちごさんどう2024夏 」開催2024年7月17日
-
長野県塩尻市と山口県岩国市の歴史的風致維持向上計画を認定 農水省など2024年7月17日
-
生とうもろこしまるかじり 昭和村で農業体験開催 パルシステム群馬2024年7月17日