JAの活動:今さら聞けない営農情報
みどりの食料システム戦略2【今さら聞けない営農情報】第98回2021年4月17日
「みどりの食料システム戦略」は、農林水産省で検討が進められている日本の食料システム戦略のことで、サブタイトル「食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現」で表現され、生産から消費までサプライチェーンの各段階において、新たな技術体系の確立と更なるイノベーションの創造により、我が国の食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションでの実現をはかる「食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現」を目指しているものです。
本年3月末に中間とりまとめが行なわれ、パブリックコメントが行われていますので、中間とりまとめの内容で戦略の内容をひもといてみます。
戦略は、調達、生産、加工・流通、消費の4つのカテゴリーに分けられ、それぞれに具体的な取り組み内容が示されています。
まず、調達です。その内容は、「資材・エネルギー調達における脱輸入・脱炭素化・環境負荷軽減の推進」です。具体的には、3つの取り組みが掲げられています。
1つめが、持続可能なエネルギーの調達です。これは説明不要と思いますが、太陽光発電や風力発電、少水量発電などの積極的活用があたります。遊休地や倉庫等の屋根に太陽光発電ユニットを設置したり、豊富な水量のある地域で、農業用水の水路に少水量発電装置を設置するなど持続可能エネルギーを使える環境にある場合は、積極的に取り入れる努力が求められています。
2つめが、地域・未利用資源の一層の活用に向けた取組です。日本の野山には、伐採されることなく荒れている山林や、水稲収穫後のもみ殻など、利用できるのに使われていない未利用資源が眠っています。国が例としてあげている改質リグニンは、森林総研が開発した杉材を活用してつくるもので、高機能樹脂材料をつくる原料にすることができます。これを工業ベースに乗せることができれば森林の有効活用につながります。
3つめが、資源のリユース・リサイクルに向けた体制構築・技術開発です。これは今捨てられている資源を再利用することですので説明は不要ですね。国が例にあげている「食品残渣・汚泥等からの肥料成分の回収・活用」は、コンポスターや汚泥肥料などすでに実用化されているものですが、まだ量的には少なく、拡大するにはまだいくつかの技術開発や体制整備が必要とされています。
また、新たなタンパク資源(昆虫等)の利活用拡大は、タンパク源となる昆虫等の飼育に食品残渣由来の餌を使用してリサイクルしようというものです。昆虫は増殖効率がよく、牛や豚から得られるものと同じタンパク量を得るのに、10分の1の餌の量で済むなどから、次世代のタンパク源として注目されています。
これらは、現在でも行われているものも多いので、既に取り組んでいるものは、しっかりと継続・発展を目指し、これから取り組めるものがあれば新たに実行に移すことで、みどりの食料システム戦略に取り組むことができます。
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