JAの活動:今さら聞けない営農情報
みどりの食料システム戦略4【今さら聞けない営農情報】第100回2021年5月8日
前回、本年3月末の中間とりまとめで示された戦略の4つのカテゴリー(調達、生産、加工・流通、消費)のうち生産-「イノベーション等による持続的生産体制の構築」に示された6つの取り組みに関する5つの期待される取組・技術のうち、「スマート技術によるピンポイント農薬散布」と「次世代総合的病害虫管理」を紹介しました。今回は「土壌・生育データに基づく施肥管理」、「農林業機械・漁船の電化等、脱プラ生産資材の開発」を紹介します。
まず、「土壌・生育データに基づく施肥管理」ですが、これは様々なセンシング技術の進化によって実現されます。センシングの方法には、衛星画像やドローン画像から生育状況を確認した、スマート農機による土壌診断データなどがあり、既に実用化されています。これらのデータをもとに、土壌中の成分が足りない所に足りない分だけ可変施肥し、圃場全体の生育を均一にするともに、肥料の無駄な施用を防いで、全体の施肥量・施肥コストを下げる効果が期待されています。今はまだ、可変施肥に対応できている農業機械は少ないため、今後の開発と機能の充実が期待されます。
次に、「農林業機械・漁船の電化等、脱プラ生産資材の開発」です。前半は文字通り農業機械を「電化」することです。電気自動車と同様にモーターで動く農業機械を開発することです。トラクターなど大きな力を必要とする機械の電化には、高性能な電池が必要になりますが、現行のリチウムイオン電池より強力な水素電池の方が農業機械には向いているように感じます。ただし、いずれも従来よりもかなり高いコストとなる見込みであり、どこまで電動農機のコストを抑えられるかが開発の肝になると考えられます。
次に、「脱プラ生産資材の開発」です。農業で排出量の抑制が課題となっている主なプラスティック製品は、農業用マルチと被覆肥料の2つです。農業用マルチは、生分解性プラスティックを使用した製品が既に開発されていますが、さらに高機能で安価なものが求められています。被覆肥料は、肥料成分を徐々に放出する機能と被覆の分解性は相反する機能であるため、開発のハードルが高いと考えられています。被覆肥料を使用しないで済む省力施肥体系の検討や、より高機能なバイオプラスチック(生分解性・高強度化)の開発が進められています。
(つづく)
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(119) -改正食料・農業・農村基本法(5)-2024年11月23日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践 (36) 【防除学習帖】第275回2024年11月23日
-
農薬の正しい使い方(9)【今さら聞けない営農情報】第275回2024年11月23日
-
コメ作りを担うイタリア女性【イタリア通信】2024年11月23日
-
新しい内閣に期待する【原田 康・目明き千人】2024年11月23日
-
基本法施行後初の予算増確保へ JAグループ基本農政確立全国大会に4000人 生産者から切実な訴え2024年11月22日
-
「適正な価格形成」国関与で実効的に JA群馬中央会・林会長の意見表明 基本農政確立全国大会2024年11月22日
-
JAグループ重点要望実現に全力 森山自民党幹事長が表明 基本農政確立全国大会2024年11月22日
-
農林水産省 エン・ジャパンで「総合職」の公募開始2024年11月22日
-
鳥インフル 米モンタナ州、ワシントン州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年11月22日
-
鳥インフル オランダからの生きた家きん等 輸入を一時停止 農水省2024年11月22日
-
11月29日「ノウフクの日」に制定 全国でイベント開催 農水省2024年11月22日
-
(411)「豚ホテル」の異なるベクトル【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年11月22日
-
名産品のキャベツを身近に「キャベツ狩り選手権」開催 JA遠州中央2024年11月22日
-
無人で水田抑草「アイガモロボ」NEWGREENと資本業務提携 JA三井リース2024年11月22日
-
みのるダイニング名古屋店開業2周年「松阪牛ステーキ定食」特別価格で提供 JA全農2024年11月22日
-
【スマート農業の風】農業アプリと地図データと筆ポリゴン・eMAFF農地ナビ2024年11月22日
-
自動運転とコスト【消費者の目・花ちゃん】2024年11月22日
-
イチゴ優良苗の大量培養技術 埼玉農業大賞「革新的農業技術部門」で大賞受賞 第一実業2024年11月22日
-
「AGRIST Aiサミット 2024」産官学金オープンイノベーションで開催2024年11月22日