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JAの活動:JA全農部長インタビュー「全力結集で挑戦 未来を創る-2021年度事業計画」

【JA全農 部長インタビュー 2021年度事業計画】宗和弘 耕種総合対策部長 農家手取り最大化に力2021年5月31日

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農業生産基盤の確立に向け、不足する農業労働力の支援とスマート農業の導入など全農の機能発揮が期待される。耕種総合対策部の宗和弘部長に今年度の重点事項を聞いた。

宗和弘 耕種総合対策部長

次期3ヵ年見据える年

--今年度はどう事業に取り組みますか。

今年度は現3か年計画の最終年でもあり、これまでの取り組みの仕上げと次期3か年計画につながる礎を作りたいと考えています。具体的には、「農家手取り最大化」の拡充と優良事例の水平展開、さらには、喫緊の課題である農業労働力支援や農業の効率化に役立つスマート農業推進、TAC等出向く活動の強化に注力していきます。

農業労働力支援では、パートナー企業との連携による農作業受委託の拡大を目指します。この取り組みは、農家が直接指示する労働者派遣とは異なり、農家は支援してもらいたい農作業をパートナー企業に依頼し、パートナー企業が自前で集めた作業員を使い依頼された作業を完遂する作業請負事業です。

このため、作業の指示や段取りは全てパートナー企業が自己の責任で行う必要があるため、作業を指示できるマネージャーの育成と作業員の作業教育が必要となります。本会大分県本部が開発し、始めた仕組みですが、これまで徐々に実施県域を増やしてきており、徐々に取り組み県域が増えてきています。

特に、本年はJTBをパートナー企業として迎えることで新規に取り組む県域を増やし、年度末には累計で27県域まで増やしたいと考えております。この取り組みは、直接的には労働力支援ですが、作業員として働いた方が農業に関心を持ち、新規に就農したいと考えるきっかけになることも期待しています。

労働力支援でもう1つ。ブロック別労働力支援協議会を全国ブロックに設置することです。本協議会は、県中央会はじめとしたJAグループに加えて県行政やパートナー企業にも参加願い、官民一体となった情報共有と円滑な労働力支援を実施することを目指しています。九州が先行し、それに続いて中四国、東北とこれまでに3ブロックで協議会ができ、活発に活動しています。また、ゆくゆくは、同じ県内やブロック内では収穫時期が重なって産地で必要な労働力を確保できないときに、他のブロックから確保できないかといった検討も行っていきたいと考えています。

--スマート農業の推進も期待されています。

スマート農業など革新的な技術の導入による生産性の向上は、農家の手取りを最大化するために必要な技術と考えています。

具体的には、営農管理システムの「Z-GIS」は、令和3年度に新規ID発行1000、累計で2100を目標に取り組みを進めます。そのほか栽培管理支援システム「ザルビオフィールドマネージャー」、人工衛星によるリモートセンシング技術を活用し、Z-GISを核として、病害虫発生アラートをはじめとした営農に役立つ様々な情報の提供を進めます。

「ゆめファーム全農」では大規模施設園芸技術の実証と、設備、資材、技術をパッケージにした普及を検討していきます。そのパッケージは、様々な営農形態に合ったものを複数用意したいと考えています。例えば、環境制御型の大規模生産施設であったり、既存施設へのロックウール栽培設備の導入であったり、新規就農者でも施設園芸に取り組めるようなモデルなど、農家に寄り添い、それぞれの要望にあった提案を行いたいと考えています。

また、施設導入後も円滑な栽培指導ができるようICTを活用した遠隔栽培指導システムの開発や動画コンテンツの作成にも取り組みます。

地域生産振興では、農産物の販売を意識した取り組みを強化します。例えば、国産農産物の輸出拡大に関しては、輸出先のニーズに対応した生産が不可欠となりますが、既存の産地だけでは賄いきれない場合があります。その賄い切れない部分を輸出専用産地の育成などでカバーしてオールジャパンで対応できるような国内生産体系をつくっていきたいと考えています。また、安定した生産・出荷により安定した収益が見込める加工業務用野菜では、全国リレー出荷を実現するための作付提案や端境期専用農場の育成などに取り組みたいと考えています。

東京オリンピックでの食材供給要件にもなっているGAP認証の支援については、東京オリンピック後も継続して産地が取り組んでいけるような支援を行っていきたいと考えています。GAPの取り組みは、認証を受けずとも、農家の営農の効率化、経営の見える化に役立ちますので、日本全国の農家に「GAPをする」取り組みを強化します。その際の強力なツールとなるGH(グリーンハーベスタ)農場評価制度を活用して産地指導に取り組めるJAや県域職員の育成にも力を注ぎます。

もちろん、量販店や生協などが取引条件としてGAP認証を求める場合がありますので、それに対応できるようJA全中とも連携してGAPの団体認証取得支援を引き続き進めてまいります。

--部としての重点事項は何でしょうか。

やはり、農家手取り最大化に資する取り組みを着実にすすめることが重要だと考えています。そのためには、トータル生産コストを下げるか、収益を上げるかのどちらかですが、理想はどちらも実現することです。

トータル生産コストの引き下げでは、大型規格農薬や共同購入肥料の使用など品質の良い安価な資材の使用提案、多収品種の導入などコスト引き下げに役立つ資材や技術の導入提案を積極的にすすめます。

収入をあげる取り組みでは、水稲農家への加工業務用野菜など園芸作物の導入提案、多収穫技術の導入提案などを行います。

現在、このような提案する農家手取り最大化メニューは70個あり、担い手の経営状況をZ-BFM等のツールで分析し、その上で経営改善に資する最適なメニューを選択・提案に取り組んでいます。

これらの取り組みの優良事例については、共有をすすめ、同じような課題を抱える担い手への水平展開を図ります。また、農家最大化メニューについては、関係部署と連携しながら今後も拡充を図ります。

また、今後も日本農業を支え続けている担い手への対応力高めるため、担い手に出向く体制の強化を図り、TAC等出向く職員のレベルアップと人材育成を強化するため各種講習会の充実や人材育成支援ツールの開発に取り組んでまいります。JAグループとの関係が薄い担い手に対しても積極的なアプローチをすすめ、より魅力的な提案の充実を図っていきたいと考えています。

(そう・かずひろ)
1962年4月生まれ。福岡県出身。九州大学農学部卒。1986年入会、営農販売企画部事業企画課長、
同TAC推進課長、耕種資材部中四国営農資材事業所長を経て2020年8月から現職。

JA全農 部長インタビュー2021年度事業計画

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