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JAの活動:JA全農部長インタビュー「全力結集で挑戦 未来を創る-2021年度事業計画」

【JA全農 部長インタビュー 2021年度事業計画】根倉修 施設農住部長 JAのインフラ整備支援 機動的に2021年6月25日

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合併によるJAの広域化で米の共同乾燥施設などの維持、再編が課題となるなか、支援機能を発揮するのが施設農住部である。根倉部長に今年度の重点事項を聞いた。

根倉修 施設農住部長根倉修 施設農住部長

JAの機能を補完

--まず施設農住事業の概要から聞かせてください。

施設事業は、JAの農業施設としての米の共同乾燥調製(貯蔵)施設や野菜等の集出荷施設などの建設やメンテナンスといった事業です。JAが生産者から農産物を集荷するために必要な施設ですから、事業対象はJAでありJAの支援機能ということになります。

具体的には、昨今、広域の集出荷施設が求められていますが、どのような規模でどのような機械設備を導入するか、などのアドバイスや設計を行います。施設の処理能力や、省力化・効率化、メンテナンス費用の低減など、求められるニーズが高度化・多様化していますから、それに対しては一級建築士・プラント担当者等の専門技術者が対応することになります。

農住事業は、首都圏を中心に組合員の資産管理という観点で取り組んでいます。JAと連携し、組合員が持っている土地の有効活用を支援し、組合員の営農継続と生活に寄与しようという事業です。
具体的には、賃貸住宅の建設はハウスメーカーが行いますが、その設計、施工、引渡しまでの業務を「施主代行方式」という委任契約で関わり、その後の賃貸管理もJAグループでサポートしています。

総合コンサルを強化

--施設事業ではどのような取り組みが重点でしょうか。

この事業は、JAの支援機能という面から、今年度の全農の事業計画書では「生産基盤の確立」のなかで「農業施設総合コンサルの拡大などによる産地インフラの整備・再編支援」として掲げられています。

JAの共同利用施設は老朽化したものが多く、特に米麦関連の共乾施設は築30年、40年も稼働しているのが当たり前なので、なかなかメンテナンスも難しく、建替えも進んでいません。一方、生産者も大規模生産者が中心になるなどの生産現場の変化が進んでいますから、機能再編も課題になっています。

こうした課題を抱えるJAから施設整備について相談があったときに、われわれは現状の施設の稼働実態調査などを行ったうえで、施設の問題点や、あるいは再編するとすればどのような方向が考えられるかなどをJAとともに考え、提案していくのが「農業施設総合コンサル」です。

これまで米麦関連の共乾施設を対象に28件こうしたコンサルを実施しており、現在は石川県と兵庫県で実施中です。そのほか、米麦関連施設以外での集出荷施設のコンサルについても3JAで実施しています。

JA合併が進んでくると旧JA単位の小規模なライスセンターは非効率だというケースもあり、その再編や、メンテナンスのコスト低減のお手伝いも実施しています。築年数が古い施設は、古い分だけメンテナンスにもコストがかかります。併せて、稼働率も下がってきているという課題もあります。

共同発注でコストダウン

今、JAの経営基盤確立が課題とされていますが、その際、必ずといっていいほど改善が必要だとされるのが組合員のJA利用事業である農業施設の収支改善です。

そのため、施設のコスト削減を目的とした、定期メンテナンスの工事項目と価格、契約期間などに関する年間契約のシステムづくりも行ってJAを支援しています。

また、試行的な取り組みとして、一昨年からJA間連携にも取り組んでいます。これは、同じような共乾施設を持っており、メンテナンス工事を必要としているJAをまとめて、農機の共同発注のようなかたちでメーカーと一括交渉しようという取り組みです。対象工事は、乾燥機、色彩選別機などの設備更新工事です。

昨年度は3JAと取り組みました。見積書の精査や工事実施時期の調整などをわれわれが行っています。メーカーは、同じ地域で、実施時期を分散させることができること、工事時期が早期に確定できるメリットがあります。われわれがJA間の調整をすることで、コストダウンにつなげるということです。この取り組みは西日本広域施設農住事業所で始めています。

また、JAが持っている施設に対する実態調査を行い、調査結果をもとに必要なメンテナンスを提案することも行っています。

たとえば老朽化した色彩選別機について、どのくらい歩留まりが悪くなっているのかの調査結果を示しながら、新しい機械に交換することでどれだけ歩留まりが良くなるかを数値として提案するといったことです。歩留まりの向上は農家手取りを増やすことにつながります。こうした提案も各県で取り組んでいます。われわれの役割はJAの機能補完ですから、こうしたきめ細かな取り組みで対応する必要があると思っています。

組合員の資産 都市に生かす

--農住事業では何が課題でしょうか。

生産緑地の2022年問題があります。市街化区域内農地で指定されている生産緑地の約8割が2022年に指定から30年を迎えます。

生産緑地指定を解除してしまえば宅地と同じ固定資産税がかかってしまいます。組合員の資産・都市農地を守るため、TAC部門と連携しながら、組合員の意向を確認し、高齢や後継者問題でもう農業はできないと悩んでいる組合員にも対応していかなければなりません。
その一つが体験型農園の開設です。

一昨年から生産緑地を体験型農園にするスキームづくりに全農の出資先であるマイファームと連携して取り組み、JAに対し組合員に生産緑地の指定を継続してもらう提案をしています。

一方、賃貸住宅についても時代の変化に合わせた取り組みをする必要があります。

今のところ入居率は高いのですが、これが落ちてくると組合員の資産管理にも影響が出てきますから、入居率を確保できるようなリフォームやリノベーションの提案にしっかり取り組み、築年数が古くなってもきちんと入居率を保てるような時代のニーズにマッチした賃貸住宅の提案に力を入れています。

たとえば、築20年ほどの住宅では3DKタイプが多いですが、昨今は、リビングダイニングが好まれるので、柱や壁を取り払った広いスペースにリノベーションするといった提案も行っています。
一時的な投資は必要ですが、家賃10万円で1年間入居がなければ120万円の家賃収入がなくなってしまうわけです。そこで、リノベーションにより入居率維持ができ、収支改善が見込める物件については、入居率の試算も示しながら提案しています。
そのほか、業務体制強化として、設計事務所の業務連携による集約を検討しています。われわれはJAの支店や施設の設計監理も行っており、施設農住部門には多くの一級建築士が在籍しています。ただ、扱う物件数は県によって異なりますから、各県での建築士の数も違います。そこで、首都圏においては設計業務を集約することを検討しています。これによって要員の確保と育成にもつながると考えています。

「系統」の安心感を提供

--今後の農住事業の基本方針をお聞かせください。

 組合員の農地は、農地として活用するのがJAグループの基本的な考えですが、首都圏ではそれ以外に社会に役に立つようにどう土地活用するのか、ということも考える必要があります。国も都市農業振興基本法で、都市に農地と農業が必要であることを示したように、都市の中で農地も住宅も共存できるような姿が求められています。

われわれは、それが組合員の利益にも繋がるように、どう活用していくかを検討し取り組んでいく必要があります。そこは組合員の要望を聞きながら、系統の事業であるという安心感を持ってもらえるような事業運営をしなければならないと考えています。

根倉修(ねぐら・おさむ)
1963年10月生まれ。神奈川県出身。産能大学卒業。1986年入会。2013年全農神奈川県本部管理部長、2015年同県本部副本部長を経て、2019年4月から現職。

JA全農 部長インタビュー2021年度事業計画

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