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JAの活動:今さら聞けない営農情報

みどりの食料システム戦略17【今さら聞けない営農情報】第113回2021年8月21日

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令和3年5月12日に決定された「みどりの食料システム戦略」(以下、「みどりの戦略」と略します)では、「食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現」を目指し、2050年までに目指す姿と取組方向が示されました。前回より「有機農業」に関する技術的戦略(1)~(10)(図参照)を掘り下げています。今回は、「(3)土着天敵や光を活用した害虫防除技術です。

まず、土着天敵です。これは文字通り田んぼや畑の周りに自然にいる害虫を捕食してくれる天敵を活用する技術です。土着天敵で有名なものは、アブラムシを捕食するナナホシテントウ、アザミウマやコナジラミを捕食するタバコカスミカメ、ハダニを捕食するカブリダニなどがあります。

天敵は餌となる害虫がある程度増えてくれないと増殖することができませんので、ほ場近くに、天敵が好む誘因植物(タバコカスミカメであればゴマ、カブリダニであればアップルミントなど)を植えるなどして一定程度の密度が保てるような工夫をしないと防除効果が得られません。また、捕食対象の害虫以外は当然防ぐことができませんし、ましてや病害防除は全く期待できません。

はっきり言って、土着天敵だけでは完全な防除は難しいので、害虫の密度を低く抑える補完的な手法であることをよく理解しておき、他の方法と組み合わせて活用する必要があります。特に、農薬を併用する場合は、天敵に影響の少ない農薬や使い方を事前に十分に把握して行う必要があります。

次に光を活用した害虫防除技術です。誘蛾灯など蛾類が好む光を灯し、トラップで一毛打尽にする誘因トラップやある波長の光下では繁殖が抑制される性質を利用した繁殖抑制光源を畑上部に設置し、害虫の増殖を抑える方法などがあります。アブラムシ防除に使用されるシルバーマルチ(アブラムシが銀色を忌避する性質を利用)なども光を利用した防除といえます。

最後に(4)緑肥等有機物施用による土づくりです。緑肥(カバークロップ)や堆肥を漉き込むことで作土に有機物を投入し、土づくりを行う方法です。この場合、漉き込む緑肥の種類や量によって肥料としての性能が異なるので、元肥との調整が必要です。ただ、完熟堆肥を投入することにより、腐植が増え、土壌が改良されて収量や品質が良くなるので、一般の農法を行う場合でも積極的に取り入れたい技術です。
みどりの食料システム戦略

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