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JAの活動:今さら聞けない営農情報

みどりの食料システム戦略22【今さら聞けない営農情報】第118回2021年9月25日

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令和3年5月12日に決定された「みどりの食料システム戦略」(以下、「みどりの戦略」と略します)では、「食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現」を目指し、2050年までに目指す姿と取り組み方向が示されました。

前回までに「有機農業」に関する技術的戦略(1)~(10)(図参照)のうち、2040~2050年までに実現・普及を目指す取り組む課題を掘り下げました。今回からは、2050年以降に取り組む課題とされている、(9)「土壌微生物機能の完全解明とフル活用による減農薬・肥料栽培の拡大」、(10)「幅広い種類の害虫に対応できる有効な生物農薬供給チェーンの拡大」を掘り下げてみます。

まず、(9)「土壌微生物機能の完全解明とフル活用による減農薬・肥料栽培の拡大」です。この取り組みは、化学農薬および化学肥料の使用量低減取り組みの中にも記載されています。その具体的な手法は、土壌微生物の力を借りて、化学肥料ゼロでも食料増産が可能な技術を開発するとあります。そのために、AI等を活用して土壌微生物の土中環境での働きと作物の生育情報、環境要因との相互作用を解析し、土壌微生物機能の完全解明をするとしています。具体的には、空気中の窒素を固定するマメ科植物の根圏に共生する根粒菌の働きを詳細に解明し、それから得られた知見を新たなテクノロジーに役立てたり、微生物の栄養源となる堆肥等の有機物を分解する土壌内微生物叢(そう)の制御によって、物が吸収できる肥料成分(無機質)をコントロールすることを目指しています。

次に、(10)「幅広い種類の害虫に対応できる有効な生物農薬供給チェーンの拡大」です。
有機農業においては天敵等の生物農薬大変有用な資材です。みどりの戦略では、幅広い種類の害虫を捕食する生物(天敵等)を効率よく普及拡大するための供給チェーンを構築することを目指しています。生物農薬は、文字どおり生き物であるため、通常の農薬とはことなる生産・物流の工程が必要になります。何より生物農薬は生き物であるため、工業製品のように計画的に大量生産することは難しいことが多く、また、生きたまま運ばないといけないので、効率よく運ぶ物流方法を必要とするものもあります。加えて、農家に供給されてからも、農家が正しく使用する技術がないと上手く働かないため、正しい使い方の個別指導(研修会等含む)が必要になります。

このため、みどりの戦略で目指している供給チェーンの確立のためには、産地単位で生物農薬を導入するなどある程度の規模が必要になりますので、JAや部会単位での取り組みが求められるようになると予想されます。

みどりの食料システム戦略

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