JAの活動:今さら聞けない営農情報
有機農業とは29【今さら聞けない営農情報】第148回2022年4月30日
令和3年5月12日に決定された「みどりの食料システム戦略」では、有機農業の推進が大きな目標となっています。有機農業に取り組むあるいは拡大するためには、有機農業についてよく理解する必要があり、本稿では、その大元となる有機JAS規格について解説しています。過去3回(N0.137、No.138、No.139)に渡り、別表2の有機栽培で使用できる農薬等資材の概略をご紹介しました。現在、別表2で示された資材を使用する際の留意点を、別表2に掲載されている順番に沿って連番で紹介しています。
18.硫酸銅
硫酸銅が殺菌剤として使用されたのは、1882年に欧州でブドウべと病防除に使用されたのが最初です。日本では、1948年に日産化学工業株式会社によって農薬登録されたのが最初です。
銅剤が効果を発揮するメカニズムは、作物に散布された銅化合物から徐々に放出される銅イオンが病原菌の細胞内に取り込まれ、病原菌が生きるために必要な酵素系の働きを邪魔することなどで殺菌効果を示します。前回紹介したように、効果を発揮してかつ薬害が起こらない適度な量の銅イオン量に調整することが必要で、銅イオンが多いほど効果も高くなりますが、その反面薬害のリスクも高くなります。そのために生石灰を加用して、出過ぎた銅イオンを生石灰に捕まえさせて過剰な銅イオンによる薬害を起こさないようにして使用します。
発生する銅イオンの量を調整するために、硫酸銅の量と生石灰の量の配分を変えてボルドー液を調整します。ボルドー液は、調整液1リットル中の硫酸銅と生石灰のグラム数によって配合割合いを表し、4-4式(硫酸銅4g/リットル+生石灰4g/リットル)、4-8式(硫酸銅4g/リットル+生石灰8g/リットル)、6-4式(硫酸銅6g/リットル+生石灰4g/リットル)などと呼ばれます。硫酸銅の農薬登録ラベルでは、作物毎に○-△式といった表記がされていますので、定められた配合割合のボルドー液を調整して使用します。
ボルドー液の調整法を簡単に紹介すると、まず、作製するボルドー液量の10分の1の量の水で生石灰を溶かして寒冷紗などで漉しとって石灰乳を作ります。この時発熱するので注意して防護具を着用して溶かします。別にボルドー調整液の9割の量の水に硫酸銅を溶かして、十分に冷ました石灰乳に硫酸銅の液を少量ずつ全量加えることでボルドー液が完成します。
19.生石灰
主成分は酸化カルシウムの白い粉末です。ボルドー液の調整のため、硫酸銅と混合して使います。水分を吸収すると発熱して水酸化カルシウムになるため、貯蔵には水分を確実に遮断して密閉して保管する必要があります。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(150)-改正食料・農業・農村基本法(36)-2025年7月12日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(67)【防除学習帖】第306回2025年7月12日
-
農薬の正しい使い方(40)【今さら聞けない営農情報】第306回2025年7月12日
-
【注意報】水稲に斑点米カメムシ類 県下全域で多発のおそれ 茨城県2025年7月11日
-
【注意報】斑点米カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 新潟県2025年7月11日
-
【注意報】果樹に大型カメムシ類 果実被害多発のおそれ 北海道2025年7月11日
-
【注意報】果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 福島県2025年7月11日
-
【注意報】おうとう褐色せん孔病 県下全域で多発のおそれ 山形県2025年7月11日
-
【第46回農協人文化賞】出会いの大切さ確信 共済事業部門・全国共済農協連静岡県本部会長 鈴木政成氏2025年7月11日
-
【第46回農協人文化賞】農協運動 LAが原点 共済事業部門・千葉県・山武郡市農協常務 鈴木憲氏2025年7月11日
-
政府備蓄米 全農の出荷済数量 80%2025年7月11日
-
【'25新組合長に聞く】JA加賀(石川) 道田肇氏(6/21就任) ふるさとの食と農を守る2025年7月11日
-
【'25新組合長に聞く】JA新みやぎ(宮城) 小野寺克己氏(6/27就任) 米価急落防ぐのは国の責任2025年7月11日
-
(443)矛盾撞着:ローカル食材のグローバル・ブランディング【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年7月11日
-
【2025国際協同組合年】協同組合の父 賀川豊彦とSDGs 連続シンポ第4回第二部2025年7月11日
-
米で5年間の事前契約を導入したJA常総ひかり 令和7年産米の10%強、集荷も前年比10%増に JA全農が視察会2025年7月11日
-
旬の味求め メロン直売所大盛況 JA鶴岡2025年7月11日
-
腐植酸苦土肥料「アヅミン」、JAタウンで家庭菜園向け小袋サイズを販売開始 デンカ2025年7月11日
-
農業・漁業の人手不足解消へ 夏休み「一次産業 おてつたび特集」開始2025年7月11日
-
政府備蓄米 全国のホームセンター「ムサシ」「ビバホーム」で12日から販売開始2025年7月11日