JAの活動:今さら聞けない営農情報
有機農業とは33【今さら聞けない営農情報】第152回2022年6月4日
令和3年5月12日に決定された「みどりの食料システム戦略」では、有機農業の推進が大きな目標となっています。有機農業に取り組むあるいは拡大するためには、有機農業についてよく理解する必要があり、本稿では、その大元となる有機JAS規格について解説しています。過去3回(N0.137、No.138、No.139)に渡り、別表2の有機栽培で使用できる農薬等資材の概略をご紹介しました。現在、別表2で示された資材を使用する際の留意点を、別表2に掲載されている順番に沿って連番で紹介しています。
21.性フェロモン剤
性フェロモンとは、農作物を害する昆虫固有のフェロモン作用を有する物質を有効成分とするもので、交信攪乱(交尾阻害)タイプのものと誘引タイプのものがあります。
交信攪乱タイプとは、害虫のオスを交尾へと誘う「メスの性フェロモン」に似た物質をほ場内の気中に漂わせ、メスの正確な位置をオスが特定できなく(攪乱)させることで交尾の邪魔(阻害)する作用を示すものです。交尾ができない結果、一番被害の大きい幼虫が誕生できなくさせて防除効果を発揮します。
ただ、偶然にオスが本物のメスに巡り合って交尾が成功することもあるため、フェロモン設置後も被害の発生がないか注意し、万が一発生がある場合は、薬剤によるスポット散布などして対処する必要があります。また、交尾を済ませたメスが飛来してくる場合もあるので、それを防ぐためには、できるだけ広範囲にフェロモン剤を設置する方が望ましく、ほ場以外の場所にもフェロモン剤を設置し、ほ場周辺全体にフェロモン煙幕の隙間が無いようにすると効果も安定するようです。実際には、産地全体で、産地内に点在するほ場以外の場所等も含めてフェロモン剤を設置することで効果が安定している事例も多く、その面積単位は20~30ha程度と言われています。いずれにしても、産地の地形や集約具合によって効率的な設置の仕方が異なってきますので、指導機関や農薬メーカーなどに確認しながら、産地にあった設置を行うよう心がけます。
対してもう一つの誘引タイプですが、これの仕組みは単純で、虫を引き寄せるフェロモンをトラップ(罠)などに仕掛け、虫を引き寄せて捕獲するものです。この方法は、あくまで小規模なほ場や発生のモニタリングでの使用が前提になっており、大面積産地には設置手間やコストの面で合いません。なので、大規模ほ場には交信攪乱タイプ、小規模ほ場では、トラップタイプなどといった使い分けが必要になります。
別表にタイプ別フェロモン剤一覧表を整理しましたので参考にして下さい。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(139)-改正食料・農業・農村基本法(25)-2025年4月26日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(56)【防除学習帖】第295回2025年4月26日
-
農薬の正しい使い方(29)【今さら聞けない営農情報】第295回2025年4月26日
-
1人当たり精米消費、3月は微減 家庭内消費堅調も「中食」減少 米穀機構2025年4月25日
-
【JA人事】JAサロマ(北海道)櫛部文治組合長を再任(4月18日)2025年4月25日
-
静岡県菊川市でビオトープ「クミカ レフュジア菊川」の落成式開く 里山再生で希少動植物の"待避地"へ クミアイ化学工業2025年4月25日
-
25年産コシヒカリ 概算金で最低保証「2.2万円」 JA福井県2025年4月25日
-
(432)認証制度のとらえ方【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年4月25日
-
【'25新組合長に聞く】JA新ひたち野(茨城) 矢口博之氏(4/19就任) 「小美玉の恵み」ブランドに2025年4月25日
-
水稲栽培で鶏ふん堆肥を有効活用 4年前を迎えた広島大学との共同研究 JA全農ひろしま2025年4月25日
-
長野県産食材にこだわった焼肉店「和牛焼肉信州そだち」新規オープン JA全農2025年4月25日
-
【JA人事】JA中札内村(北海道)島次良己組合長を再任(4月10日)2025年4月25日
-
【JA人事】JA摩周湖(北海道)川口覚組合長を再任(4月24日)2025年4月25日
-
第41回「JA共済マルシェ」を開催 全国各地の旬の農産物・加工品が大集合、「農福連携」応援も JA共済連2025年4月25日
-
【JA人事】JAようてい(北海道)金子辰四郎組合長を新任(4月11日)2025年4月25日
-
宇城市の子どもたちへ地元農産物を贈呈 JA熊本うき園芸部会が学校給食に提供2025年4月25日
-
静岡の茶産業拡大へ 抹茶栽培農地における営農型太陽光発電所を共同開発 JA三井リース2025年4月25日
-
静岡・三島で町ぐるみの「きのこマルシェ」長谷川きのこ園で開催 JAふじ伊豆2025年4月25日
-
システム障害が暫定復旧 農林中金2025年4月25日
-
神奈川県のスタートアップAgnaviへ出資 AgVenture Lab2025年4月25日