JAの活動:今さら聞けない営農情報
有機農業とは34【今さら聞けない営農情報】第153回2022年6月11日
令和3年5月12日に決定された「みどりの食料システム戦略」では、有機農業の推進が大きな目標となっています。有機農業に取り組むあるいは拡大するためには、有機農業についてよく理解する必要があり、本稿では、その大元となる有機JAS規格について解説しています。過去3回(N0.137、No.138、No.139)に渡り、別表2の有機栽培で使用できる農薬等資材の概略をご紹介しました。現在、別表2で示された資材を使用する際の留意点を、別表2に掲載されている順番に沿って連番で紹介しています。
22.混合生薬抽出物液剤
計12の生薬(オウバク、クジン、オウゴン、カッコン、タイソウ、ダイオウ、ショウキョウ、せんきゅう、トウキ、カンゾウ、チンピ、とうがらし)の抽出物が主成分の植物成長調整剤(商品名:アルムグリーン)です。芝では根の生育促進、いちごでは初期生育の促進、バラでは、挿し木の発根促進作用を示します。使用方法は、対象作物によって様々で、500~1000倍の希釈液を芝には1平方m当たり1lを潅水するか散布、バラでは1株あたり20~30mlを茎葉散布、イチゴでは500倍液を1株あたり200mlの割合で土壌灌注して使用します。ただし、いずれも1回の使用では十分な効果が出ないので、製品のラベルに従って、繰り返し使用する必要があります。
23.ワックス水和剤
ワックスとは、常温では固体で加熱すると液体となる有機物のことをいい、蝋(ろう)のことです。 ワックスには植物由来の天然系と石油由来の合成系がありますが、有機農産物に使用できる、ワックスを主成分とした製品は今のところありません。ワックスは、作物の表面を保護し、風雨による傷や乾燥、病害虫などから作物を守ります。なので、分厚くワックスでコーティングできればより効果は高まりますが、一方で、ワックスによって作られる被膜は、光合成や呼吸といった作物の生命活動を妨げないものでなければなりません。作物の健全な生育を妨げないで、一定の厚さの被膜を作るような製剤を天然素材だけでつくるのはなかなか難しいことのようです。
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