JAの活動:今さら聞けない営農情報
有機農業とは46【今さら聞けない営農情報】第165回2022年9月3日
最近、農業関係の雑誌や新聞などで「バイオスティミュラント」がしばしば取り上げられるようになりました。バイオスティミュラントとは、2018年1月に設立された「日本バイオスティミュラント協議会」の定義によると、英語表記でBiostimulantsといい、「生物的な刺激を与えるもの」を指し、植物や土壌により良い生理状態をもたらして農作物の増収や品質改善を実現する新しい概念の農業資材のことをいいます。バイオスティミュラントという言葉からすると、何かしら有機物や微生物を連想しますが、先述の機能を有する様々な物質も含まれます。いずれの資材も、植物やその周辺環境が本来持つ自然な力を活用することにより、植物の健全さ、ストレスへの耐性、収量と品質、収穫後の状態及び貯蔵などについて、植物に良好な影響を与える機能を持っています。
近年になって欧州を中心に世界中で注目を浴びていますが、実は、日本でも昔から植物活性剤というカテゴリーで、アミノ酸含有資材であったり、海藻エキスであったり、微生物含有資材といった製品が販売されており、一部の農家には根強い人気があります。
以下、営農現場で知っておきたいバイオスティミュラントの概要をご紹介します。詳細は、日本バイオスティミュラント協議会のホームページに記載されていますのでそちらでご確認下さい。(注1)
まずは、バイオスティミュラント(以下BSと略します)の定義です。バイオスティミュラント協議会によると最も信頼できる定義は、ヨーロッパバイオスティミュラント協議会(以下、EBIC)が提唱するもので、次のようなものです。
[EBICによるバイオスティミュラントの定義]
農業用BSには、作物の生理学的プロセスを制御・強化するために、植物または土壌に施用される化合物、物質および他の製品の多様な製剤が含まれる。
BSは、作物の活力、収量、品質および収穫後の保存性を改善するために、栄養素とは異なる経路を通じて植物生理に作用する。
[EBICによるバイオスティミュラントの主な機能]
BSは、種子の発芽から植物の成熟までの作物ライフサイクル全体にわたって次の方法で植物の成長および発育を促進する。
・増収と作物の品質向上を促すために植物の代謝の効率を改善する。
・非生物的ストレスへの耐性を強化し、また回復させる。
・栄養の同化、転流、使用を促進する。
・糖の含有量や色など、生産物の品質属性を高める。
・植物の水バランスを制御、改善する。
・土壌の特定の物理化学的性質を高め、補完的に土壌微生物の発育を促進する。
次回、これらBSの機能をひも解いてみましょう。
(注1)https://www.japanbsa.com/biostimulant/definition_and_significance.html
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