JAの活動:私の農協物語
【私の農協物語】元JA全中会長 萬歳章氏(上)「農林魂」おのずと2022年10月1日
2015(平成27)年はJA組織にとって大きな転換の年だった。安倍晋三政権による「農協改革」で全国農協中央会(JA全中)が農協法から削除され、改正農協法が国会で成立、戦後の農協を支えてきた制度的バックボーンがなくなった。その時、JA組織を守るため、JAグループのトップとして苦渋の選択を迫られたのが、当時JA全中の会長だった萬歳章氏である。同氏は6期の市議会議員を経て、地元JAの役員を務め、県連合会、全中と20有余年、JAグループのリーダーとして活躍してきた。
元JA全中会長 萬歳章氏
私は大学を卒業し、昭和54(1979)年、市議会議員になりました。34歳のときです。その後、父が病気で務めていた全農副会長を辞任することとなり、地域の人に推される形で、地元五泉市農協の理事に就任しました。5年後の平成10(1998)年組合長になり、さらに5年後の平成15年、県連合会の共通副会長に就任するとき、議員との兼職禁止となり、6期目だった議員を離職。平成20(2008)年県連5連共通会長、23年全国農協中央会長になりました。
父と同じ道に
父親から、直接の影響を受けたわけではありませんが、地域の人に推され、結果的に同じ道を歩んできたことになります。それは周りの環境がそうさせたのではないかと感じています。
中学校を卒業して、新潟大学農学部の源流である県立加茂農林高校に進学しました。昭和初期まで、愛知県立農林学校、静岡県立農林高校と並び、「日本の三大農学校」と称され、全国から学生が集まる名門校でした。私は座右の銘を聞かれると「農は国の基」を挙げていますが、加茂農林高校で学ぶなかで、おのずと「農林魂」が身についたのではないかと思います。
東京農業大学に入学したのは昭和39(1964)年4月ですが、その年の6月中旬には新潟国体、同月16日にはマグニチュード7・5の新潟地震の発生、10月の東京オリンピック開催と続きます。今では考えられない経済成長の真っ盛りで、世の中全体に活気があったように思います。時代の変化を感じさせられます。
これまで農協や農業に関するさまざまな仕事をしてきましたが、変わったところでは島根県の出雲大社御遷宮奉賛会の役員があります。平成25(2013)年、60年に一度の遷宮の年で、全中も奉賛金を納め、協力しました。その時、出雲大社の本殿に参拝を許されましたが、身の引き締まる思いでした。伝統の重さを感じさせられましたね。
◇
この企画「私の農協物語」(随時掲載)は、戦後の日本の農協を支えた先人の記録である。米の増産、貿易の自由化、選択的規模拡大、米の減反と大きく変わる農業政策のなかで、今日の農協の基礎をつくり上げてきた先人は、どのような思いや夢をもって協同組合運動を展開してきたか。後世にその記録を残す。(聞き書き)
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