JAの活動:今さら聞けない営農情報
有機農業とは51【今さら聞けない営農情報】第170回2022年10月8日
現在、バイオスティミュラント(以下BS)にはBSにどんな製品があるか具体的にご紹介していきます。今回は、②海藻および海藻抽出物、多糖類です。
海藻や海藻抽出物を原料とする粒状・葉面散布剤は古くから使用されており、実際に販売されている商品名には、ケルパック、アルギンゴールド、海藻のエキス、ラオメといったものがあります。
海藻には、多くの多糖類やアミノ酸、微量要素などのミネラル分の他、多数の成分が含まれています。これらの多数の成分が、植物の生理活性を高め、発根・発芽促進、養分吸収を促進することにより、作物の生育を旺盛なものとし、病虫害やその他の障害に対する抵抗力が増大し、品質向上(増糖・特に食味をプラス・着色増進・果実肥大)と増収効果がうたわれています。
これらの成分のうち、多糖類とはセルロースやペクチンなどをいい、グルコースなどの単糖が2個以上結合したものです。一般的に固体で水を吸着しやすい物質です。多糖類は、海藻の細胞壁に多く含まれており、アルギン酸やフコイダン, 紅藻の寒天やカラジーナンなどは貴重な食品素材および生化学素材として食品・化学産業分野でも有効利用されています。
多糖類の機能としては、主に作物の根圏環境を整えることにあります。
多糖類は、水分を吸収すると粘度が増すことにより、土壌の団粒化を促し、同時に土壌水分の保持能力が向上することにより水持ちの良い土壌環境にする機能があります。また、糖質であることから、多くの微生物の栄養源となって増殖が促進されし、土壌中の微生物バランスを良好に保つ効果があります。また、葉面散布によって微量要素の補給や生体調整機能や抗ウイルス活性などもあるといわれており、植物の生育にとって様々な有益な働きをしています。
ただし、残念ながらそれらの全てが解明されているわけではないようです。なぜなら、多糖類の機能を研究するためには、実験系が複雑で手間が多くかかる上に種類が多く、膨大な時間がかかってしまうからのようです。一方で、肥料成分も多く含んでいる資材でもありますので、肥料原料不足の昨今、海藻関連製品の様々な機能がさらに有効利用できるようになることが期待されています。
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