JAの活動:今さら聞けない営農情報
有機農業とは54【今さら聞けない営農情報】第173回2022年10月29日
現在、バイオスティミュラント(以下BS)にはBSにどんな製品があるか具体的にご紹介しています。今回は、⑤微生物資材(トリコデルマ菌、菌根菌、酵母、枯草菌、根粒菌など)です。
微生物は、葉や茎など作物体や土壌の中に無数に存在し、生存しています。それぞれが、様々な働きを持っており、それによって作物の生育を促進したり、品質をよくしたり、病害を出にくくしたりします。その働きには、他の微生物の生息を邪魔する拮抗(きっこう)作用や空気中の窒素を固定する窒素固定、作物と共生関係を築いて作物の生育に必要な養分を供給するものなど様々です。以下、微生物資材ごとにその機能を簡単に紹介しますが、商品名は、菌種ごとにHP等でご確認下さい。
1. トリコデルマ菌
糸状菌(かび)の一種で、緑色の胞子をつくるのが特徴です。
この菌は、拮抗作用によって植物病原菌であるフザリウム菌などの生育の邪魔をして、病害の発生を未然に防ぎます。主な作用は、生育場所や養分の競合ですので、病原菌より前に作物体上でトリコデルマ菌をあらかじめ増殖させておく必要があります。農薬でいうところの予防効果のみの資材で、病害発生後では効果は期待できません。
2.菌根菌
菌根菌は糸状菌(かび)の一種で、地上植物の80%もの植物と共生関係を築くことができます。菌根菌は作物の根から侵入して共生し、作物から糖や脂肪酸をもらい、その見返りに作物の根よりも広い範囲に菌糸を伸ばし、土壌中の養分(リンなど)を吸収して作物に与えます。特にリン酸の吸収がよくなり、作物の品質や収量が向上します。マメ科植物の根に寄生する「根粒菌」と混同されることがありますが、両者は全く別物であることを覚えておいて下さい。
3.酵母
酵母菌は単細胞ですが、かびの1種です。土壌中の有機物を分解して作物が吸収しやすい形にしたり、土壌中の原料をもとにアミノ酸やビタミン、多糖類などを作り出します。これによって、土壌中の微生物層をバランスよく増殖させる機能があります。
4.枯草菌
稲わらなどで高頻度に見つかる最近の1種です。納豆菌などと同じ仲間で、芽胞という耐久体をつくって土中に長期間生存できます。土壌中の有機物を分解して、作物の養分吸収を助け、収量・品質の向上に役立ちます。また、この菌を含む製剤を作物に予防的に散布することで、病原菌の生活圏や栄養を奪って増殖を抑え、病害の発生を減らす作用があります。
5.根粒菌
マメ科植物の根に共生して、作物から糖や脂肪酸をもらう見返りに空気中の窒素を固定して窒素分をマメ科植物に与えます。マメ科植物が緑肥として有効なのも、この菌の働きによるものが大きいためです。
6.光合成細菌・放線菌
光合成細菌は、酸素を嫌い、水田などの水がためられていてかつ明るく有機物が多い場所を好む細菌です。イネの根腐れの原因となる硫化水素や悪臭の原因となるメルカプタンなど農作物にとって有害な物質を栄養源にして、光合成によりアミノ酸や核酸をつくり、作物の生育や品質の向上に役立ちます。
放線菌は、細菌でありながら菌糸状のものをつくる、糸状菌と細菌の間のような生物です。医農薬の抗生物質をつくることで有名ですが、土壌中では線虫の卵殻や糸状菌の細胞壁の主成分であるキチンを分解する酵素「キチナーゼ」をつくる働きがあり、キチナーゼの働きによって病原菌の細胞膜や線虫の卵が破壊され、それらの密度抑制に貢献しています。
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