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JAの活動:農協時論

【農協時論】創造的自己改革 当事者意識持ち真の相互扶助を 田中均・JA松本ハイランド組合長2022年12月8日

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「農協時論」は新たな社会と日本農業を切り拓いていくため「いま何を考えなければならないのか」を、生産現場で働く方々や農協のトップの皆様に胸の内に滾る熱い想いを書いてもらっている。今回は長野県のJA松本ハイランド代表理事組合長の田中均氏に寄稿してもらった。

田中均 JA松本ハイランド組合長

「創造的自己改革」とは、第27回JA全国大会(2015年)において提起されたもので「組合員の願いを実現するため、各々のJAが多様な農業・地域の実態に応じて、自らの創意工夫に基づく積極的かつ多彩な事業と組織活動を展開し、地域の農業とくらしになくてはならない組織となることをめざす改革」(全中)ということになっている。

それはその通りなのだが、今なぜ「創造的自己改革」なのか、その背景・歴史的位置づけについて考えてみる。

政府が求めた「農協改革」の焦点

周知のとおり2014年6月、政府の規制改革会議の答申が出され「農協改革」が求められた。要求された「農協改革」の中身はいろいろあるが、その焦点は『「中央会制度の廃止」か「准組合員の事業利用規制」かの二者択一を迫られ、結局「准組合員の事業利用規制」を守るために、取引材料として「中央会制度の廃止」を差し出した』(『覚醒シン・JA』宍道太郎)ことにあるという指摘がある。なるほど言いえて妙。そして、全中は(一社)になり県中は連合会になった。いずれにしても、政府にとって主要テーマであった「中央会制度の廃止」によって「農協改革」の議論は沈静化した。

「中央会制度の廃止」が押し切られた要因

「中央会制度の廃止」と「信用事業の分離」については、実は今回が初めてではないという。1956年河野一郎農相の時代にも提起され、設立して間もない系統農協が強く反発した結果、法案提出が見送りになったとのこと。なにが違っていたのだろうか。一言でいえば、世論の支持があったからだという。66年前は農業者・組合員数が多く、国民の多数派であり世論への影響も大きかった。しかし、今は少数派となってしまった。

農協は、これまで米価運動をはじめ農政活動を通じて世間からは、利益集団・圧力団体とみられてきた。今日、単なる利益集団として政府に働きかけるだけでは、国民の理解は得られない。今回は、全中が(一社)になったことにより「信用事業の分離」や「准組合員の事業利用規制」が棚上げされたが、いつまた問題が再燃するかわからない。

「農協改革」の再燃を阻止するには

少数派となったJAが「農協改革」の再燃を阻止するには、世論を味方につけるしかない。そのためには、自らが創意工夫して地域に貢献するJA像を示すこと以外にないのではないか。1954年、農協法改正により指導連を廃止して中央会が新設された。今回その「中央会制度」が廃止されたということは、指導連の時代に戻り再出発をするときがきたと思えばよいのではないか。

それには、「自助を土台とした共助の組織」(宮脇 朝男)として地域になくてはならない存在にならなければならない。自助のない共助は、たんなる「もたれあい」でありその先は共倒れ。「真の相互扶助」組織になるためには、構成員である組合員がいかに「当事者意識」「我がJA意識」をもつかがカギになる。

JAの現在地

2021年、政府の「規制改革実施計画」が閣議決定され、自己改革のPDCAサイクルを農水省が指導・監督するという。これまでの農水省は、中央会を通じて間接的に指導・監督していたが、これからは直接指導・監督するという。

本来自由意思で行われるべき企業活動が、行政によって直接指導・監督されるようになったのはJAにとって屈辱的だが、それがJAの現在地。したがって、それに甘んずることなく「もたれあい」でない「真の相互扶助」組織になるべく自ら改革をしていくことが「創造的」 ということなのではないか...と自らに問うている。

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