JAの活動:今さら聞けない営農情報
有機農業とは60【今さら聞けない営農情報】第179回2022年12月10日
平成30年12月に施行された改正農薬取締法で定められ、全ての農薬の有効成分ごとに、それを含む農薬を定期的(概ね15年ごと)に最新の科学的知見に基づき安全性等の再評価を行う仕組みである農薬の再評価制度が進められています。
前回、その概要や防除現場への影響について、特に古くて良い農薬が登録維持できなくなる可能性があることをご紹介しました。このことの背景には、再評価制度によって、従来は農薬登録を取得するために必要ではなかった試験項目、農薬使用者暴露評価や鳥類・ミツバチ等の暴露量評価が追加されたことに加え、通常の農薬登録に必要な試験の多くで新しい知見に基づいた再試験をしなければならなくなったことがあります。つまり、農薬の再評価のための費用は、新しい農薬の登録を取得する時と同じかそれ以上の金額が必要になると考えられており、農薬メーカーにとっては大きな負担増となります。
この新たな費用負担が、実際の販売量・金額でまかなえればいいですが、古くて良い農薬は得てして価格が安いものが多く、全体の販売金額が再評価制度に基づく試験費用に追い付かない例も多くなると想定されています。その場合には、農薬メーカーにとって死活問題となりますので、苦渋の選択で農薬の登録維持を断念せざる得なくなってしまいます。
このような農薬が増えないことを願うしかありませんが、豊かな生産を維持するためには、農薬の再評価の進捗状況を十分に把握しつつ、負の登録(適用作物削除、使用方法削除、収穫前使用日数の増加など)が予想される場合は、代替防除手段の検討や登録内容変更後に沿うように防除暦等の変更を前広に検討しておく必要があります。農薬の場合、登録内容の変更があったとしても、ラベル主義という考え方によって、使用する農薬製品の有効期限内は、それに貼付されているラベル(農薬の適用内容、注意事項等)に従って使用することが可能となっているなど、登録変更が現場に反映されるまでの準備期間を取ることができますが、代替策がある場合は、できるだけ速やかに代替策を試しておくことが重要です。
ただし、代替防除手段もすぐに見当つけられないことも多いので、試験研究機関の指導を仰ぎながら、資材メーカーとも協力し、産地全体で対応を検討することが求められます。
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