JAの活動:今さら聞けない営農情報
有機農業とは64【今さら聞けない営農情報】第183回2023年1月14日
国は、肥料原料の価格高騰に対応した肥料価格高騰対策事業を実施し、海外原料に依存している化学肥料の低減や堆肥等の国内資源の活用等に取り組む農業者に対し、肥料コスト上昇分の一部(7割)を支援しています。この事業は、15項目に上る化学肥料低減に向けた取り組みのうち、2つ以上を実行または強化・拡大することで補助を申請できます。
今回は、④堆肥の利用を紹介します。
堆肥は既に活用されている方も多く、比較的活用しやすいメニューかと思いますので、ここでは上手に活用するために堆肥の特性をおさらいしておきます。
本来堆肥とは、様々な有機物質を堆積し、好気的な発酵過程を経て腐熟させてつくります。肥料成分的に安定化し、土壌に施用するのに適した状態にするには、完熟していることが必要です。
元々は、稲わらや落ち葉、野草などを堆積したものを堆肥と呼び、家畜ふん尿を主体とするものは厩肥(きゅうひ)と区別していましたが、現在は、稲わら、籾殻、樹皮、動物の排泄物など動植物の有機物(ただし、汚泥や魚介類の内臓を除く)を堆積または撹拌して腐熟させたものをまとめて堆肥と呼んでいます。
ただし、堆肥は原料となる有機物に何を使うかによって性状や成分含量なども異なるため、原材料名を商品の前につけていることが多くなっています。例えば、牛ふん堆肥は、牛ふんを主成分として堆積腐熟させたものですし、同様に豚ぷん堆肥、鶏ふん堆肥と名前をみれば一目で原料がわかります。バーク堆肥は、バーク(樹皮)を主原料として、家禽ふん、家畜ふんなどを加えて堆積腐熟させてものを指します。
この原料がわかるようにしてあるのは、含まれる肥料成分が異なるからです。堆肥に含まれる肥料成分は、窒素、リン酸、カリ、カルシウム、マグネシウムなどで、特に窒素やカルシウムの量が種類によって異なります。例えば、全窒素量を比較すると、鶏ふん(6%程度)、豚ぷん(4%弱)、牛ふん(2%程度)の順に多く、カルシウムであれば鶏ふん(11%程度)、豚ぷん(4%程度)、牛ふん(2%弱)の順に多く、鶏ふんが圧倒的に多いことがわかります。このため、堆肥を施用する際には使用する堆肥の成分量を計算に入れて投入量を決める必要はありますが、施肥の主体を堆肥にすることで、化学肥料の投入量を減らすことができます。ただし、堆肥で必要な窒素量を確保するためには、大量に施用しなければならない場合もあり、散布作業が大変な点など解決すべき点もありますが、原料のほとんどを海外に依存する化学肥料の投入量を減らし、持続性のある農業を行うための有効な資材として期待されています。
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