JAの活動:今さら聞けない営農情報
有機農業とは65【今さら聞けない営農情報】第184回2023年1月21日
国は、肥料原料の価格高騰に対応した肥料価格高騰対策事業を実施し、海外原料に依存している化学肥料の低減や堆肥等の国内資源の活用等に取り組む農業者に対し、肥料コスト上昇分の一部(7割)を支援しています。この事業は、15項目に上る化学肥料低減に向けた取り組みのうち、2つ以上を実行または強化・拡大することで補助を申請できます。
今回は、⑤汚泥肥料の利用を紹介します。
汚泥肥料とは、文字どおり汚泥を原料に使用した肥料です。
その原料となる汚泥は、生活雑排水やし尿、食品工場排水を下水処理場や工場内の処理施設等で、排水中に含まれる環境汚染の原因となる様々な物質を取り除き、浄化した際に発生するものです。その主なものは、浄化に使用された微生物の死骸が集まって沈殿したものです。汚泥は、植物に有益な窒素、リン酸などの栄養分を豊富に含んでいるものの、排水に含まれていたカドミウムや水銀などの有害な重金属も高濃度に含んでいる可能性がありますので、農林水産省は、汚泥肥料中の有害重金属の基準を設定し、これを超える濃度の有害重金属を含む製品の生産・販売を規制するとともに、肥料の製造者がこれらの基準に従って適切に管理することを義務付けています。その有害成分の種類と肥料中の有害成分の規制値(乾燥状態,mg/kg)は、ひ素50、カドミウム5、水銀2、ニッケル300、クロム500、鉛100となっており、現在汚泥肥料として流通しているものは、これらの基準をクリアしていますので安心して使用できます。
汚泥肥料は、重量の割には価格が安く、近年の肥料原料価格高騰対策の1つとして、肥料コスト低減の目的で利用が増えています。ただし、汚泥の発生する施設の配置など生産拠点が限られるため、広く一般的なものではありませんが、利用が可能な生産者には肥料コスト対策として有効です。このため、国の肥料価格高騰対策事業の要件である化学肥料低減に向けた取り組みの1つにカウントされています。
汚泥肥料は、製造拠点や生産時期によって汚泥に含まれる成分が変化することから、使用する汚泥肥料に含まれる成分量を使用前に必ず確認し、自身の圃場の土壌分析結果にもとづいて施用量を調整する必要がありますので注意して下さい。
♢ ♢
本コラムに関連して、ご質問や取り上げてほしいテーマなどがございましたら、お問い合わせフォーム(https://www.jacom.or.jp/contact/)よりご連絡ください。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(130)-改正食料・農業・農村基本法(16)-2025年2月22日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(47)【防除学習帖】第286回2025年2月22日
-
農薬の正しい使い方(20)【今さら聞けない営農情報】第286回2025年2月22日
-
全76レシピ『JA全農さんと考えた 地味弁』宝島社から25日発売2025年2月21日
-
【人事異動】農林中央金庫(4月1日付)2025年2月21日
-
農林中金 新理事長に北林氏 4月1日新体制2025年2月21日
-
大分いちご果実品評会・即売会開催 大分県いちご販売強化対策協議会2025年2月21日
-
大分県内の大型量販店で「甘太くんロードショー」開催 JAおおいた2025年2月21日
-
JAいわて平泉産「いちごフェア」を開催 みのるダイニング2025年2月21日
-
JA新いわて産「寒じめほうれんそう」予約受付中 JAタウン「いわて純情セレクト」2025年2月21日
-
「あきたフレッシュ大使」募集中! あきた園芸戦略対策協議会2025年2月21日
-
「eat AKITA プロジェクト」キックオフイベントを開催 JA全農あきた2025年2月21日
-
【人事異動】農林中央金庫(4月1日付、6月26日付)2025年2月21日
-
農業の構造改革に貢献できる組織に 江藤農相が農中に期待2025年2月21日
-
米の過去最高値 目詰まりの証左 米自体は間違いなくある 江藤農相2025年2月21日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】有明海漁業の危機~既存漁家の排除ありき2025年2月21日
-
村・町に続く中小都市そして大都市の過疎(?)化【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第329回2025年2月21日
-
(423)訪日外国人の行動とコメ【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年2月21日
-
【次期酪肉近論議】畜産部会、飼料自給へ 課題噴出戸数減で経営安定対策も不十分2025年2月21日
-
「消えた米21万トン」どこに フリマへの出品も物議 備蓄米放出で米価は2025年2月21日