JAの活動:今さら聞けない営農情報
有機農業とは67【今さら聞けない営農情報】第186回2023年2月4日
国は、肥料原料の価格高騰に対応した肥料価格高騰対策事業を実施し、海外原料に依存している化学肥料の低減や堆肥等の国内資源の活用等に取り組む農業者に対し、肥料コスト上昇分の一部(7割)を支援しています。この事業は、15項目に上る化学肥料低減に向けた取り組みのうち、2つ以上を実行または強化・拡大することで補助を申請できます。
今回は、⑦有機質肥料(指定配合肥料等を含む)です。
有機質肥料とは、窒素やリンなどの肥料成分を含み、土壌に施用することで無機化して作物が吸収して肥料効果を示すものをいいます。
具体的には、植物油の搾りかす(ナタネ粕、大豆粕)、水産加工品残渣、米ぬかや堆肥、泥炭といったいわゆる有機物を指し、特に、ナタネ油粕や魚粕など肥料成分含量が高くて公定規格に合致するものは、普通肥料としても扱われています。有機質肥料は、土壌に施用したのちに、微生物等の働きで分解され無機化(植物が吸収できる形)したものが肥料効果を示しますので、効きはじめまでに時間がかかるのが一般的です。
有機質肥料の施用効果には、肥料的効果(窒素、リン酸、カリをはじめとした肥料成分の供給)、肥料効果増進(窒素の緩行化、リンの利用率向上)、土壌の化学性改善(塩基保持力向上、地力窒素の活用、緩衝能の増大など)、土壌の物理性改善(団粒構造の形成、保水力向上、透水性向上、通気性向上)、土壌中微生物層の活性化(土壌中有用微生物の増殖促進)、植物生理活性増大(生理活性物質の生成)、土壌緩衝能の改善(低温・干ばつといった環境ストレス緩和)といったものがあります。これらの効果は、含まれている肥料成分の量や分解性(無機化する性能)などによって異なります。肥料成分が多いものについては、肥料的作用が働いて増収効果を示しますし、肥料成分が少ないものについても、土壌団粒構造の形成など健全な土壌をつくる働きを示したりしますので、肥料の高騰対策のみならず、土づくりの点でも積極的に活用したい資材です。
有機質肥料については、肥料供給会社から多くの製品が供給されているのに加え、米ぬかなど自賄できるものもありますので、作付け内容や地力の状況に合わせてご活用下さい。
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