JAの活動:今さら聞けない営農情報
有機農業とは69 有機質資材を活用した施肥⑧【今さら聞けない営農情報】第188回2023年2月18日
国は、肥料原料の価格高騰に対応した肥料価格高騰対策事業を実施し、海外原料に依存している化学肥料の低減や堆肥等の国内資源の活用等に取り組む農業者に対し、肥料コスト上昇分の一部(7割)を支援しています。この事業は、15項目に上る化学肥料低減に向けた取り組みのうち、2つ以上を実行または強化・拡大することで補助を申請できます。
今回は、⑨肥料施用量の少ない品種の利用と、⑩低成分肥料(単肥配合を含む)の利用について紹介します。
⑨肥料施用量の少ない品種の利用とは文字通り、作付けする作物の中でも肥料要求性の低い品種を使用するということです。例えば、水稲では生産コスト低減や作期分散のため、多収穫品種の作付けが増えていましたが、それらの品種は従来品種より肥料要求性が高いものが多く、肥料を従来より多く投入しなければなりませんでした。この品種を従来に戻すだけでも、施肥量を減らすことができます。ただし、品種の選定は、産地や部会の取り決めや販売面での制限、種子の入手状況によって、個々で簡単に変更できるものでもありませんので、多くの場合、地域単位や販売先との相談が必要となります。
⑩低成分肥料(単肥配合を含む)の利用 では、圃場の土壌成分量に合わせて、足りている成分を省き、足りていない成分のみを適量施肥することで、施肥量を減らせます。一般に、日本にはリン酸が多い土壌が多く、リン酸の含有量が少ない製品や、少ない成分を補う単肥(成分が1つのもの)のみを使うことで、施肥量を減らすことができます。
この取り組みを実行するには、圃場の状態を把握することが必要で、何よりもまず土壌診断を実施しなければなりません。できれば全ての圃場ごとに実施するのが理想ですが、筆数が多いと分析点数も多くなるので大変です。そのような場合には、国が提供している土壌マップなどを参考に、自身の圃場がどんな土壌なのか把握し、要所を絞って診断するようにすると良いでしょう。また、収量コンバインや衛星診断などのデータがあれば、それを活用して施肥量を決めても良いでしょう。いずれの場合も、診断結果に基づき、最適な処方箋をJAや指導機関等と相談しながら、使用する肥料銘柄や量を決めるようにします。
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