JAの活動:今さら聞けない営農情報
有機農業とは71【今さら聞けない営農情報】第190回2023年3月4日
国は、肥料原料の価格高騰に対応した肥料価格高騰対策事業を実施し、海外原料に依存している化学肥料の低減や堆肥等の国内資源の活用等に取り組む農業者に対し、肥料コスト上昇分の一部(7割)を支援しています。この事業は、15項目に上る化学肥料低減に向けた取り組みのうち、2つ以上を実行または強化・拡大することで補助を申請できます。
今回は、⑫局所施肥(側条施肥、うね立て同時施肥、灌注施肥等)の利用について紹介します。
局所施肥とは文字通り作物の根が伸びてきて吸収する部位にのみ肥料を施す方法です。従来の施肥法は、ほ場全体に均一に肥料を散布し、その後に丁寧に耕耘して作土層内に均一に肥料分を分散させるやり方が一般的でした。ただ、これでは根が届かない部分にある肥料分は利用されないことになあり、そのまま土壌内に残存することになります。もちろん、灌水や降雨によってその流亡する分もありますが、基本的に根が届かない部位に施用された肥料分は無駄になります。
この無駄な肥料分を、作物が必要とする肥料分を作物の根が届く部位にのみ施用することで無駄を省き、施肥効率を向上させることができるようになります。
この局所施肥方法にはいくつかあり、側条施肥、うね立て同時施肥や灌注施肥(ドリッピング)などで、それぞれ専用の施肥機や設備が必要になります。
側条施肥機は、田植機に装着されたものが多く、植え付けした条のそばで根が伸長してくる範囲内に、一定の深さで田植機の進行方向へ条(すじ)状に肥料を施用していく方法です。粒状肥料を使用する方法やペースト肥料(液状肥料)を使用する方法があり、施用機によっては、施肥深度を変えて条状に施肥する2段施肥という方法もあります。これは、肥料分を施用する条の深度を変えて元肥として使用する条と追肥と使用する条とを作ることにより、根が伸びるまでの時間差を利用して、元肥と追肥を一度の施肥で行うことができる省力的かつ効率的に施用法になります。
うね立て同時施肥機は、園芸作で使用され、作物を定植する場所の下に、根が伸長する範囲内に条状に一定の深さで施肥するものです。
灌注施肥は、点滴チューブなどの設備を作物の株元に設置し、そこに液肥を必要な量だけ点滴する方法です。
いずれの方法も新たな機械や設備の設置が必要になりますが、肥料代の節約に加え、施肥の手間が大幅に省けることから施肥労働費の削減にも役立ちます。ただし、機械や設備を所有していない場合は新たに投資が必要になりますので、導入費用と労働費、肥料代を含めた収支検討を事前によく行い、投資回収が可能かどうかの判断が必要になります。
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