JAの活動:今さら聞けない営農情報
有機質資材を活用した施肥(30)【今さら聞けない営農情報】第211回2023年8月5日
みどりの食料システム法が施行され、国内の肥料資源(特に有機質資材)を活用した施肥の重要度が増しています。そこで本稿では、堆肥、汚泥肥料、食品残渣、有機質肥料、緑肥作物といった有機質資材を有効活用するために、順次有機質資材利用にあたって理解しておきたい基本的事項をご紹介しています。
今回は、堆肥に含まれる肥料成分についてです。堆肥の成分は、原料、堆積方法と堆積期間など製造工程の違いによって大きく異なります。また、原料によっては、含まれる成分は同じでも量が異なる場合が多く、使用する前に使用しようとする堆肥の成分をよく確かめて施用量を決める必要があります。
まず、それぞれの成分の違いを比べるために、肥料的効果の指標となる窒素、リンの含有量、並びに、土壌改良効果の指標となる繊維成分(セルロース、ヘミセルロース、リグニン)の量を比較してみます。
下記の表の数値は、平均値で、同じ堆肥でも原料の質や配合割合によって大きく異なります。例えば、全窒素が多いといわれる豚ぷん堆肥で比較してみると、全窒素含有割合は、ある調査結果では、最大で3.11%に対し最小は0.48%と約6.5倍の開きがありました。なので、特に肥料的使用目的で使用する場合は、必ず事前に使用する堆肥の成分量を確かめて施用量を決めるよう注意が必要です。
堆肥とはそういうものだとご理解いただいた上で、あえて比較してみると、全窒素は、豚ぷん>牛ふん>木質資材堆積物の順に多く、速効性のある無機態窒素(アンモニア態窒素+硝酸態窒素)も同じ順番です。なので、堆肥を使用して窒素を早く効かせたい場合は、まずは豚ぷん堆肥を使用すれば良いことになります。同様に、土壌改良効果で比較してみると、植物繊維の主成分であるセルロース、ヘミセルロース、リグニンの総計はどの堆肥もさほど変わりませんが、分解しにくく、土壌の物理性改良効果の高いリグニンの量は、木質資材堆積物>牛ふん>豚ぷんの順に多いので、土壌の物理性改良を主目的に使用する場合は、木質資材堆積物を使用すると良いことになります。堆肥も種類によって適した使用目的があることをご理解下さい。
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