JAの活動:今さら聞けない営農情報
有機質資材を活用した施肥(31)【今さら聞けない営農情報】第212回2023年8月12日
みどりの食料システム法が施行され、国内の肥料資源(特に有機質資材)を活用した施肥の重要度が増しています。そこで本稿では、堆肥、汚泥肥料、食品残渣、有機質肥料、緑肥作物といった有機質資材を有効活用するために、順次有機質資材利用にあたって理解しておきたい基本的事項をご紹介しています。
前回は、堆肥に含まれる肥料成分は様々であり、使用目的によって使い分ける必要があることを紹介しました。作物の生育に必要な肥料は、土壌分析に基づいて必要な量を施用する必要がありますので、堆肥を肥料として使用する際には、使用する堆肥に肥料成分がどのくらい入っているか確認する必要があります。堆肥は特殊肥料に分類されるもので従来は肥料成分量の表示は必要ありませんでした。それが、2000年に肥料取締法関係告示において、堆肥についても主要な成分の含有量等(窒素全量、リン酸全量、カリ全量、C/N比など)を表示することが義務化されました。それ以降は、堆肥容器や包装の外側等に普通肥料の保証票のような書式のものが堆肥製品に貼付されるようになっています。
なので、堆肥を使用する場合は、製品に表示されている肥料成分含量が把握した上で、施肥基準に基づいて堆肥施用量を決めるようにして下さい。
もう一つ、堆肥を使用する場合には、使用する堆肥の腐熟度を確認するようにして下さい。
堆肥は、稲わら等の植物繊維質資材や家畜ふんなどを堆積し腐熟化して作りますが、その腐熟化の過程で有機物が分解され、無機態窒素などの肥料成分になったりします。その腐熟化が不十分な堆肥を使用した場合には、土壌中で窒素飢餓を引き起こして生育不良となったり、有機物を分解する過程で生じる中間産物による生育障害などが起こり、作物の生育にマイナスの影響を与えます。未熟な堆肥を使用すると作物の生育に障害が起こるので、未熟な状態では使用しないと考えておいた方が無難です。
では、腐熟度をどのようにして知ることができるのでしょうか?
信頼できる業者から完熟堆肥を購入すれば間違いはありませんが、もし堆肥を自製する場合は腐熟度を確認し、完熟させてから使用するようにします。
現場で確認できる堆肥の腐熟度の確認には次のような方法があります。
まず、堆積物の温度を計測する方法です。堆肥化の過程では顕著な発熱がありますが、ある程度腐熟化が進むと温度が低下してきます。そのタイミングで切り返しによって空気を供給すると再び温度が上昇します。この温度が上昇すること腐熟化が進行している証なので、切り返しても発熱が無くなれば腐熟化が終了した(完熟した)と判断します。また、シャーレに試験する堆肥の抽出液を加えた発芽シートにコマツナ種子を並べ、発芽率が80%以上かつ根・葉が確認できる状態であれば完熟したと判定する方法が知られています。
◇ ◇
本コラムに関連して、ご質問や取り上げてほしいテーマなどがございましたら、コラム・シリーズ名を添えてお問い合わせフォーム(https://www.jacom.or.jp/contact/)よりご連絡ください。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(130)-改正食料・農業・農村基本法(16)-2025年2月22日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(47)【防除学習帖】第286回2025年2月22日
-
農薬の正しい使い方(20)【今さら聞けない営農情報】第286回2025年2月22日
-
全76レシピ『JA全農さんと考えた 地味弁』宝島社から25日発売2025年2月21日
-
【人事異動】農林中央金庫(4月1日付)2025年2月21日
-
農林中金 新理事長に北林氏 4月1日新体制2025年2月21日
-
大分いちご果実品評会・即売会開催 大分県いちご販売強化対策協議会2025年2月21日
-
大分県内の大型量販店で「甘太くんロードショー」開催 JAおおいた2025年2月21日
-
JAいわて平泉産「いちごフェア」を開催 みのるダイニング2025年2月21日
-
JA新いわて産「寒じめほうれんそう」予約受付中 JAタウン「いわて純情セレクト」2025年2月21日
-
「あきたフレッシュ大使」募集中! あきた園芸戦略対策協議会2025年2月21日
-
「eat AKITA プロジェクト」キックオフイベントを開催 JA全農あきた2025年2月21日
-
【人事異動】農林中央金庫(4月1日付、6月26日付)2025年2月21日
-
農業の構造改革に貢献できる組織に 江藤農相が農中に期待2025年2月21日
-
米の過去最高値 目詰まりの証左 米自体は間違いなくある 江藤農相2025年2月21日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】有明海漁業の危機~既存漁家の排除ありき2025年2月21日
-
村・町に続く中小都市そして大都市の過疎(?)化【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第329回2025年2月21日
-
(423)訪日外国人の行動とコメ【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年2月21日
-
【次期酪肉近論議】畜産部会、飼料自給へ 課題噴出戸数減で経営安定対策も不十分2025年2月21日
-
「消えた米21万トン」どこに フリマへの出品も物議 備蓄米放出で米価は2025年2月21日