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JAの活動:シリーズ

【動き出す 担い手コンサルティング】営農組合の基盤強化(2) 千葉県・JAきみつ、農林中金千葉支店2024年1月25日

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千葉県のJAきみつは、担い手コンサルティング事業を導入し、地域の担い手に対してJAの強みを生かした総合提案の実践に取り組んでいる。担い手農家の農業所得の向上とともに、経営基盤を強化し、JAの営農経済、信用事業の安定・拡大を図ろうというもので、農林中金千葉支店、全農千葉県本部と共に2021年から事業をスタートさせ、対象農家を増やしている。同JAが最初にモデル的に導入した農事組合法人・百目木(どうめき)営農組合にその取り組みをみる。

「【動き出す 担い手コンサルティング】営農組合の基盤強化(1) 千葉県・JAきみつ、農林中金千葉支店」 から

収益の多角化推進 法人化で将来模索

収益の多角化のために導入したレタスと宗政さん収益の多角化のために導入したレタスと宗政さん

百目木営農組合のコンサルティング事業は、2021年11月に事業実態の把握と課題の洗い出しを行い、解決策の検討を経て、3カ月後の2022年2月にソリュ―ションを提案。その結果、第1に問題点として挙がったのは水稲の収量だった。当時、水田では主食用米だけを栽培していたが、条件不利地の影響などから、主力の「ふさおとめ」「ふさこがね」の収量が地域の平均を下回っていた。

この原因として、稲作の作業工程が整理・組合員に共有されておらず、人のやりくりが場当たり的だった。また、ほ場別・品目別の栽培管理が不十分なことなどが指摘された。

このためJAの経済センターがほ場ごとの特徴を調べ、肥料の適正施肥設計の提案や肥料メーカーと共同で試験栽培の実施を提案。併せて条件不利地への飼料用米多収品種の紹介を行った。このほか、ICT技術の活用で、全農のほ場管理システム「Z―GIS」の導入を提案、組合共通の端末(PC)の導入などを勧めた。

また、国の交付金の入金時期と経費の支払い時期がずれていることが導入を躊躇(ちゅうちょ)させていた飼料用米について、JAのつなぎ資金融資の活用を提案。さらに、主食用米のみでは価格変動の影響を受けやすいことから、収益の多角化を進めるため、主食用米以外の生産を提案し、レタス、トウモロコシなどの露地野菜を導入した。

コンサルティング実践チームの打ち合わせコンサルティング実践チームの打ち合わせ

そのほか、中・長期的な対策として、▽施設(ライスセンター)の稼働率を高めて収益向上を図る▽就労規則を定め、雇用に関する知識を身に付ける▽次世代への承継に向け、将来後継予定の理事の意識醸成▽資本基盤の強化と作業受託の拡大▽雇用管理研修会への参加による労務知識の取得などを挙げた。

理事の宗政さんは担い手コンサルティングを受けて「PDCAサイクルを踏まえ、可視化された具体的な経営分析・診断から短期・中長期の課題解決を農業事務所・市役所担当課・JAなどの協力や支援を受けて経営改善に取り組むことが極めて必要であり、また経営改善の成果が上がると痛感した」と、コンサルティング事業についてのアンケートで回答している。

JAきみつが担い手コンサルティング事業を始めた契機について、嶋野課長は「第6次農業・地域振興計画における営農改善活動を着実に進めるため、農林中金の指導で経済・金融、経済センターなど、関連部署を網羅したチームで取り組むことに期待した」と言う。百目木営農組合に続き、2つの担い手経営をコンサルティングし、来年度も担い手コンサルティングは継続していく。

JAきみつ本店JAきみつ本店

将来100haも視野

農事組合の将来について宗政さんは、ほ場整備され、水田および用水管理が一本化されたことで、最終的に、法人として100haまでの規模拡大は可能だとみている。「従業員態勢を整え、受託面積を拡大し、主食用米や加工用米以外に、野菜栽培に取り組み、今後は法人経営の所得向上を目指したい」と言う。一人20haとして5人の担い手がいれば可能だとみる。 

それには「資金融資、人手確保、作目の選択・販売などを含めた中・長期の経営ビジョンが欠かせない。JAには、そのための知恵を借りたい」とJAの支援に期待する。また、JAきみつ経済部の若林博之部長は「1件目の百目木営農組合は法人経営として、さまざまな課題の相談を受けている。2件目は採卵鶏と水稲で、3件目は水稲と野菜の経営だが、いずれもやってよかったという評価をいただいている。今後もコンサルティング農家を増やし、地域農業のリーダーとして支援していきたい」と言う。

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