JAの活動:未来視座 JAトップインタビュー
"つながり"糧に地域創造(1)JAぎふ組合長 岩佐哲司氏【未来視座 JAトップインタビュー】2024年3月25日
昨年、「農協運動」の発展に寄与した功績者を表彰する第44回農協人文化賞を受賞したJAぎふの岩佐哲司組合長。「協同組合らしいJAをいかに作り上げるか」に腐心してきた。「協同活動が人をつくる」という考えの原点を文芸アナリストの大金義昭氏が聞いた。
「恕」に真っすぐ リスペクト胸に
JAぎふ組合長 岩佐哲司氏
大金 岩佐さんには物事をいつもゼロから問い直すような固有の原理があって、決してブレません。中央大学(商学部)学生時代からの読書遍歴の影響ですか。
岩佐 学生時代は「別嬪(べっぴん)さん」を追いかけてました。(笑)
大金 ぼくと同じだ。(笑)
岩佐 バブル前夜の1983年、農協(JA)に就職しました。学生時代に勉強しなかった分、社会人になったら頑張って、精いっぱい生きようと思いました。まずは積極的に人に会い、人間の幅を増やすことから始めました。天台宗のお寺で、一般向けの「千日回 峰」の体験版などにも参加しました。朝2時起きで山に登るのです。
大金 合併したJAぎふでは、2008年に経営企画課長に就任してから"とんとん拍子"で組合長に。引き上げてくれた方がいたのですか。
岩佐 誰が、というわけじゃないんです。JAに入った時、父の友人が参事をしていて、「20代のうちにしっかり勉強しろ。資格試験は進んで受けろ!」などと言われ、支店に5年いるうちに「宅建」に受かり、本部に引き上げられました。その後もその時々に影響を受け、引き上げてくれた上司に巡り合いました。地域とJAの職場とで、実力以上に評価されたと思います。
大金 ご謙遜を!(笑)。地域の組合員さんから支持を得ると、職場でもおのずから評価されますからね。
岩佐 産直店の朝6時からの出荷時間帯に顔を出すと、いろいろな情報が入ってくるし、何より組合員さんが喜んでくれる。若いうちから消防団やPTA、JCなどにも参加し、友達の輪を広げることを心がけました。
大金 第44回農協人文化賞、おめでとうございます。
岩佐 ありがとうございます。
大金 受賞の際、「恕(じょ)」と揮毫(きごう)された。「許す」「思いやる」という意味で、人柄が現われていますね。
岩佐 小学校の時、「恕直」という名前の先生がおられたんです。「恕」に真っすぐ。そういう生き方がいいなと思い、先生にはがきを送り、「恕直」を座右の銘にする許しを得ました。
大金 准組合員も含め、JAぎふの組合員は約10万人で、管内人口のおよそ8分の1を擁しています。都市部も中山間地域もあり、まさにJAの「縮図・典型」ですね。「すべては組合員とともに」と謳(うた)う「第5次中期経営計画」は①「活力ある農業」と「豊かな地域」の実現、②組合員の暮らしの向上、③経営基盤の確立――を掲げています。
10年後の姿 今はホップ
岩佐 ①と②は10年後にめざす方向で、今はホップ・ステップ・ジャンプの「ホップ」にあたります。
大金 「活力ある農業」を「家族農業の継続を目ざし、地域の食を支えているという誇りと安定した所得の確保により、後継者や新たな農業者が参入したいと思うような魅力的で持続可能な農業」と規定していますが、平易で過不足のない表現に感心しました。
岩佐 言葉に拘(こだわ)りがあって。常勤役員で検討し、会議で出てきた言葉をホワイトボードに書き留めながら、10時間くらいかけてまとめました。議論は好きですが、つまらない会議だとつい寝てしまう。「組合長、寝てましたね!」と言われると、「俺が寝るような退屈な会議、する方が悪いわ!」と言い返してます。(笑)
大金 JAぎふのサバイバル戦略は?
岩佐 これまでは生産部会中心の「共選・共販」以外は"邪道"でした。それでは形や見た目でしか評価されず、限界がある。農家って「ありがとう。おいしいもの作ってくれて!」と言われたら頑張れる。生産者と消費者が互いにリスペクトしあえる農業・地域づくりが課題です。
大金 販売チャンネルの一つとして「地消地産」を考えたのではない、と?
岩佐 そうです。株式会社はモノで顧客と「つながり」ますが、JAは人と人との「つながり」からモノやサービスが生まれる。
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