JAの活動:今さら聞けない営農情報
土壌診断の基礎知識(19)【今さら聞けない営農情報】第249回2024年5月11日
みどりの食料システム法の施行によって国内資源を活用した持続型農業への転換が求められ、国内資源の有効活用に期待が高まっています。作物が元気に育つためには、光、温度、水、空気に加え、生育に必要な栄養素を土壌から吸収しますが、作物が健全に生育するには土壌の健康状態を正確に把握することが必要で、そのために土壌診断があります。現在、本稿では土壌診断を実施して土壌の状態を知り、正しい処方箋をつくるために必要な土壌診断の基礎知識を紹介しています。
現在、土壌診断項目別に改良方法の基礎知識をご紹介しており、今回は、リン酸の改良方法です。
以前ご紹介したように、リン酸(P)は、肥料の3要素(NPK)の1つであり、窒素(N)と並んで最も重要な養分の1つです。土壌中では、作物に利用されやすいものと利用されにくいものがあり、作物に利用されやすいリン酸のことを「有効態リン酸」や「可給態リン酸」といい、作物に利用されにくいリン酸のことを「難溶性リン酸」や「不溶性リン酸」といい、作物に利用されにくいリン酸は、土壌中で塩をつくって「リン酸の固定」が起こるからでした。
このため、リン酸の改良では、土壌のpHをよく把握する必要があり、それによって施用するリン酸質肥料や対応方法が異なります。特に土壌が酸性の場合リン酸の固定が起こりやすくなるので、「ようりん」などく溶性のリン酸質肥料を施用します。土壌が中性の場合、通常は「ダブリン」や「重焼リン」を施用します。土壌がアルカリ性の場合、「過石」や「重過石」、「ダブリン」を施用します。
施用量は、作物ごとの目標リン酸量から土壌診断によって得られた土壌中のリン酸量をもとに所定の計算方法で算定します。実際の施肥量は、土壌診断を依頼したJA等の指導機関に処方箋を書いてもらうと簡便ですが、リン酸は土壌のpHによって使用するリン酸質肥料が異なることをよくご理解下さい。
また、もし有効態リン酸量が作物ごとの目標値よりも多かった場合にはリン酸の施用は避けるようにして下さい。
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