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JAの活動:JA全国連組織の女性役員・管理職に聞く

【JA全国連組織の女性役員・管理職に聞く】多様な価値観を力に 農林中金常務 内海智江氏(2)2024年6月27日

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【JA全国連組織の女性役員・管理職に聞く】多様な価値観を力に 農林中金常務 内海智江氏(1) から

農林中金常務 内海智江氏②農林中金常務 内海智江氏②

まず職場の声を聞く

加藤 状況を少しでも変えるため、たとえば復職できる制度はあるのでしょうか。

内海 女性が継続してキャリアを形成できる制度としては「退職者エントリー制度」があります。「配偶者転勤休業制度」が弊庫で導入される前、女性職員の退職理由で多かったのは配偶者の転勤ですが、「この制度を利用し、配偶者の転勤先で別の仕事をしていたけれども、配偶者が元の勤務地に戻ってきたので農林中金に復職した」という人も実際にいます。

世の中、人手不足になっていくのは間違いなく、男性人口も減っているわけですから、育児、介護で退職を選択せざるを得ないという人を減らしていかなければなりません。男性だって介護は問題になりますし、高齢者が増えれば増えるほど、男性も女性も介護の時間が必要となると思います。みんなが時間をうまく工夫して働けるようにして、組織として様々な事情を乗り越えて働ける人を確保していくことが求められていると思います。

加藤 今の学生や若い世代になると、当たり前のように男子も台所に入り食事の手伝いをします。

内海 手伝いではないですよ(笑)。

加藤 そうですね(笑)。主体的に当たり前のこととして家事をする。ただ、そこまで行かない世代が、まだまだ中心的な仕事をやっているとなると、どう考えるべきかメッセージを明確に出さなければならないということですね。

内海 農林中金も2022年をダイバーシティ(多様性)元年と位置付けて取り組みを始めました。

まず初めに女性職員の生の声を聞くことをしました。どこが改善されればもっと働きやすく自分が能力発揮できる組織になるかという意見をもらい、その意見の一つ一つに対応する形でいろいろな取り組みを進めてきました。

例えば、いわゆるロールモデル、身近に参考になる女性の先輩がいないという声がありました。そこで、女性の先輩と意見交換をするワークショップを実施したり、私自身も課長職や課長職になる手前の女性職員、100人ほどと面談したりして、どこに悩みがあるのかをまとめ、他の役員にまず知ってもらうということをしました。

役員の中には部下がほとんど男性という人や、直接自分が一緒に働くメンバーには女性がいないという人も結構多くいたため、女性の声を取りまとめ、これを解決すればみんなが働きやすくなりますね、という提案につなげています。

働き方改革セット推進

また、ダイバーシティ推進よりも前から働き方改革に取り組んでいますが、やはり働き方改革とセットでなければ進まないことも多いです。たとえば、効率良く生産性の高い仕事をしよう、だらだら長く残っていることが評価されるわけではないというのは、ずっと前から取り組んでいます。

そこはかなり進んできており、さらに今の20代、30代が管理職になる頃には、男性でも子どもを保育園に送ってから出勤するのが当たり前という意識になるでしょう。

今は過渡期だと思います。諦めずに、いろいろな取り組みをいろいろな視点から行っていくことが大切なのではないでしょうか。問われているのは、男性であれ女性であれ長時間労働は希望しないし、一方で育児も介護も自分の仕事と思っている世代にとって今の私たちの組織は魅力的ですか、ということです。

農林中金としての中長期的な目標では2030年度までに女性管理職比率13%、2040年度までに30%としています。

数字ありきではないですが、数字の力は大事で、実際、私自身も4月から女性常務執行役員が増えただけで、男性ばかりの会議の中でこんなに印象が違うんだということを感じています。もちろん30%がゴールではなく、新卒の女性総合職をここ数年40%の割合で採用していますから、将来的には少なくとも40%という数字にならないと、と思っています。

今は本当にいろいろな価値観の人がいますから、やはりその人たちにとって魅力的な組織であり続けるには、働き方が工夫できて、自分が大事だと思うところに時間を割くことができ、働きがいや充実感を得られるような組織にしていかなければなりません。系統全体でこうした取り組みが進めば良いと思います。

加藤 協同組合は組織原理からいっても、男女差があってはならない組織ですから、女性が働き続けるためにはどういう職場をつくっていくべきかということは重要な課題だと思います。ダイバーシティ推進の重要性を改めて話してください。

内海 なぜダイバーシティ推進が必要なのか、正しく理解される必要があると思います。男女雇用機会均等法施行から何十年になりますが、ダイバーシティ推進とは制約がある人を同じ舞台に、いわば「均等」に引き上げるということが目的ではなく、組織の成長のためにいろいろな視点、多様な価値観があることはプラスになるという考えのもと推進されている、それを明らかにしていくということだと思います。

いろいろな意見があると発見もまたいろいろあって、イノベーションも生まれる。だからこそ必要なんだとしっかり納得することが大事なのではないでしょうか。これは自分の組織のためにも必須で、スピード感を持ってやらないといけない極めて重要な課題だと認識しています。

(うつみ・ともえ)
1968年6月生まれ。神奈川県出身。リッチモンド大経営学部卒。2000年農林中央金庫入庫。18年本店業務部長。21年4月より農林中央金庫常務執行役員。

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