JAの活動:今さら聞けない営農情報
土壌診断の基礎知識(26)【今さら聞けない営農情報】第256回2024年6月29日
みどりの食料システム法の施行によって国内資源を活用した持続型農業への転換が求められ、国内資源の有効活用に期待が高まっています。作物が元気に育つためには、光、温度、水、空気に加え、生育に必要な栄養素を土壌から吸収しますが、作物が健全に生育するには土壌の健康状態を正確に把握することが必要で、そのために土壌診断があります。現在、本稿では土壌診断を実施して土壌の状態を知り、正しい処方箋をつくるために必要な土壌診断の基礎知識を紹介しています。
前回から施肥量の決め方の基礎知識をご紹介しています。
今回は、施用量を決める要因の4つ目、④土壌診断結果を紹介します。
前回、天然供給量をご紹介しましたが、施肥量を決めるためには、天然供給量の他に元々土壌に養分量がどの位あるかを知っておく必要があります。作物の生育に必要な養分量を単純に施肥してしまうと、土壌に元々ある養分量分だけ過剰施用になり、肥料要素によっては過剰症など作物の生育に良くない現象が起こることがあります。
この土壌に元々ある養分量を計測するのが土壌診断であり、施肥量はこの土壌診断結果をもとに、作物の生育に必要な養分量(目標値)から元々あった養分量を差し引いて決定します。
土壌診断で計測する項目は、pH、アンモニア態窒素、硝酸態窒素、有効態リン酸、交換性カリ、交換性石灰、交換性苦土、有効態ケイ酸(水稲のみ)、EC、CECが必須項目です。この他、遊離酸化鉄や腐植、リン酸吸収係数などの項目がありますが、これらはより良い土づくりをする際には計測しておいた方が良い項目になります。
土壌診断の実施は、窒素、リン酸、カリを簡易的に測定できる簡易検査キット「商品名:みどりくんN、みどりくんPKなど」を使用する方法もありますが、より良い土づくりのために必要とされる全項目を検査するには、専門の土壌分析機関で検査してもらう方が正確です。専門機関での分析は、JAや指導機関等で実施していますので、指示された土壌サンプル採集方法を遵守してサンプルを作成・送付し、分析を依頼して下さい。無駄な施肥を回避し、作物の生育に適した適正な施肥を実践するためにも定期的な土壌分析の実施をお勧めします。
◇ ◇
本コラムに関連して、ご質問や取り上げてほしいテーマなどがございましたら、コラム・シリーズ名を添えてお問い合わせフォーム(https://www.jacom.or.jp/contact/)よりご連絡ください。
重要な記事
最新の記事
-
【シリーズ・酪農「有事」を追う(上)】離農加速、1万戸割れの衝撃 円安と需給緩和に政策遅延2024年7月1日
-
津山市久米地区特産「ジャンボピーマン」出荷開始 JA晴れの国岡山2024年7月1日
-
【人事異動】農水省(7月1日付)2024年7月1日
-
【人事異動】全国主食集荷協同組合連合会(7月1日)2024年7月1日
-
熊本県荒尾市、有明地区水利組合と連携し、水稲栽培によるJ-クレジット創出の取り組みを開始 NTTコミュニケーションズ2024年7月1日
-
【JA人事】JA尾道市(広島県)新組合長に村上俊二氏(6月24日)2024年7月1日
-
【JA人事】JAあわじ島(兵庫県)原口和幸組合長を再任(6月26日)2024年7月1日
-
農業利益創造研究所、JA全中、農林中金とパートナーシップ協定を締結 ソリマチ2024年7月1日
-
産地直送通販サイト「JAタウン」新規会員登録キャンペーンを実施中2024年7月1日
-
7月の野菜生育状況 レタス、ブロッコリーがお買い得 農水省2024年7月1日
-
【注意報】トマト、ミニトマトにトマトキバガ 県内全域で多発のおそれ 三重県2024年7月1日
-
【役員人事】全農ビジネスサポート(6月28日付)2024年7月1日
-
【役員人事】全国労働金庫協会(6月28日付)2024年7月1日
-
【役員人事】協同住宅ローン(7月1日付)2024年7月1日
-
【人事異動】日本農業新聞(7月1日付)2024年7月1日
-
【人事異動】JA共済連(6月29日付)2024年7月1日
-
配送センター職員に商品アピール 初の就労支援事業所販売会 パルシステム埼玉2024年7月1日
-
鳥インフル 米サウスカロライナ州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年7月1日
-
温室栽培の誘引ひも向け生分解性ポリマー開発 BASF2024年7月1日
-
みのる食堂アミュプラザくまもと店で「高砂レンコン」フェア15日まで開催 JA全農2024年7月1日