JAの活動:今さら聞けない営農情報
土壌診断の基礎知識(28)【今さら聞けない営農情報】第258回2024年7月13日
みどりの食料システム法の施行によって国内資源を活用した持続型農業への転換が求められ、国内資源の有効活用に期待が高まっています。作物が元気に育つためには、光、温度、水、空気に加え、生育に必要な栄養素を土壌から吸収しますが、作物が健全に生育するには土壌の健康状態を正確に把握することが必要で、そのために土壌診断があります。現在、本稿では土壌診断を実施して土壌の状態を知り、正しい処方箋をつくるために必要な土壌診断の基礎知識を紹介しています。
前回から施肥量の決め方の基礎知識をご紹介しており、今回は施用量を決める要因の6つ目、⑥施肥に使用する肥料銘柄の肥料成分含有量を紹介します。
肥料銘柄の肥料成分含量とは、文字どおり肥料の製品の中にどの位の肥料成分が入っているかを示すものです。普通肥料であれば保証票と呼ばれるものが印刷(または貼付)されており、堆肥等の特殊肥料であれば主要な成分の含有量が表示されているので、それを見ればその肥料製品の中に、どの肥料成分がどれだけの割合で含まれているかがわかるようになっています。
例えば、高度化成オール15(20kg袋)という肥料製品の保証票にN15%、P15%、K15%と書かれていたとすると、この製品にはN(窒素)が15%、P(リン酸)が15%、K(カリ)が15%含まれていることを示しています。製品は20kgですので、この製品中に含まれる肥料成分の量は、Nが20kg×15%=3kg、PもKも同様に3kgずつ含まれていることになります。
例えばNを6kg施用しなければならない水田があったとし、その6kgをこの製品(高度化成オール15)で施肥したい場合、1製品あたりのNは3kgですので、Nを6kg施用するには、この製品を6kg÷2=2袋施用すればよいことになります。ただし、この製品1袋にはPも3kg、Kも3kg含まれていますので、この製品を2袋施用するということは、N6kgの施用と同時にPもKも6kgずつ施用されてしまうことに注意が必要です。
もし土壌診断の結果、PもKも十分に足りていて追加施用が必要の無い場合は、N成分のみが含まれている硫安などのN単肥(たんぴ)を施用します。硫安はNが21%なので、硫安20kg袋中にはNが4.2kg含まれていることになりますので、Nを6kg施用したい場合は6÷4.2=1.43袋となり、硫安を1.43袋=28.6kg(=1.43×20)を施用すればよいことになります。このように、肥料製品に含まれる肥料成分の種類と含有量によって、肥料製品の施用量が調整されます。
◇ ◇
本コラムに関連して、ご質問や取り上げてほしいテーマなどがございましたら、コラム・シリーズ名を添えてお問い合わせフォーム(https://www.jacom.or.jp/contact/)よりご連絡ください。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(130)-改正食料・農業・農村基本法(16)-2025年2月22日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(47)【防除学習帖】第286回2025年2月22日
-
農薬の正しい使い方(20)【今さら聞けない営農情報】第286回2025年2月22日
-
全76レシピ『JA全農さんと考えた 地味弁』宝島社から25日発売2025年2月21日
-
【人事異動】農林中央金庫(4月1日付)2025年2月21日
-
農林中金 新理事長に北林氏 4月1日新体制2025年2月21日
-
大分いちご果実品評会・即売会開催 大分県いちご販売強化対策協議会2025年2月21日
-
大分県内の大型量販店で「甘太くんロードショー」開催 JAおおいた2025年2月21日
-
JAいわて平泉産「いちごフェア」を開催 みのるダイニング2025年2月21日
-
JA新いわて産「寒じめほうれんそう」予約受付中 JAタウン「いわて純情セレクト」2025年2月21日
-
「あきたフレッシュ大使」募集中! あきた園芸戦略対策協議会2025年2月21日
-
「eat AKITA プロジェクト」キックオフイベントを開催 JA全農あきた2025年2月21日
-
【人事異動】農林中央金庫(4月1日付、6月26日付)2025年2月21日
-
農業の構造改革に貢献できる組織に 江藤農相が農中に期待2025年2月21日
-
米の過去最高値 目詰まりの証左 米自体は間違いなくある 江藤農相2025年2月21日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】有明海漁業の危機~既存漁家の排除ありき2025年2月21日
-
村・町に続く中小都市そして大都市の過疎(?)化【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第329回2025年2月21日
-
(423)訪日外国人の行動とコメ【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年2月21日
-
【次期酪肉近論議】畜産部会、飼料自給へ 課題噴出戸数減で経営安定対策も不十分2025年2月21日
-
「消えた米21万トン」どこに フリマへの出品も物議 備蓄米放出で米価は2025年2月21日