JAの活動:今さら聞けない営農情報
土壌診断の基礎知識(29)【今さら聞けない営農情報】第259回2024年7月20日
みどりの食料システム法の施行によって国内資源を活用した持続型農業への転換が求められ、国内資源の有効活用に期待が高まっています。作物が元気に育つためには、光、温度、水、空気に加え、生育に必要な栄養素を土壌から吸収しますが、作物が健全に生育するには土壌の健康状態を正確に把握することが必要で、そのために土壌診断があります。現在、本稿では土壌診断を実施して土壌の状態を知り、正しい処方箋をつくるために必要な土壌診断の基礎知識を紹介しています。
前回までに施用量を決める要因の6つ目を紹介しました。今回はそれらを使って施用量を決める手順を紹介します。
施用量を決まる手順には大まかに分けて、①必要養分量をもとに決定する方法と②土壌診断結果をもとに決定する方法の2つがあります。②の土壌診断結果をもとにする方法は、特に野菜など作付終了後の残存肥料が多い場合に必要とされていた方法です。近年は施肥の効率化、無駄な施肥を避けるために、水稲などの普通作はじめ多くの作物で実施されています。
1つ目の必要養分量をもとに決定する場合は肥料成分ごとに次のようなステップを踏んで決定します。
(STEP1)目標とする10aあたり収量(kg)を決める。
(STEP2)収量100kgを生産するのに必要な成分量(kg)を調べる。
(STEP3)目標収量を生産するのに必要な10aあたりの成分量(kg)を算出する。
STEP3(必要成分量)=STEP1(目標収量)×STEP2(収量100kg必要成分量)÷100
(STEP4)天然成分供給量(kg/10a)を調べる。
(水稲の場合、窒素7kg、リン酸3kg、カリ7kg程度が圃場の環境から供給されている)
(STEP5)成分補給量(kg/10a)を算出する。
STEP5(成分補給量)=STEP3(必要成分量)-STEP4(天然成分供給量)
(STEP6)成分の利用率を調べる。
※成分の利用率とは施用された成分が作物に利用(吸収)される割合のことを指し、
水稲の場合、窒素50%、リン酸10%、カリ40%とされている。
(STEP7)必要成分施用量を算出する。
STEP7(必要成分施用量)=STEP5(成分補給量)×100÷STEP6(成分利用率)
目標収量を得るために必要な成分補給量を確保するためには、成分利用率を考慮して多めに肥料成分を施用する必要がある。
(STEP8)施用する肥料銘柄を決めてそれに含まれる肥料成分の含有割合(%)を確認する。
(STEP9)肥料銘柄施用量を算出する。
STEP9(肥料銘柄施用量)(kg)=STEP7(必要成分施用量)×100÷STEP8(%)
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