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JAの活動:JA全国連組織の女性役員・管理職に聞く

【JA全国連組織の女性役員・管理職に聞く】性別より「個」の成長を JA全農営業開発部МD企画課長 安藤貴子氏2024年9月5日

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シリーズ第4回はJA全農の購買部門から販売部門までの経歴を持つ営業開発部の安藤貴子МD企画課長に聞いた。「平等」よりも今は「公平」が大事ではないかと話す。聞き手は元JA全農専務で千葉大学客員教授の加藤一郎氏。

JA全農営業開発部 МD企画課長 安藤貴子氏JA全農営業開発部 МD企画課長 安藤貴子氏

加藤 安藤課長の経歴を拝見しますと、自動車燃料部への配属に始まり、一転して大消費地販売推進部、総合企画部、その後は生活リテール部商品開発課で全農ブランド推進室長の担当などを経て、現在は営業開発部МD企画課長として商品開発を担当されています。

私が全農に勤務した時代には部門間異動はほとんどありませんでした。しかし、安藤課長の職歴からは時代は変わったと思います。まずは、ご自身の職歴をどのように感じておられるかからお聞かせください。

安藤 いろんなことがありすぎて、何をお答えしようか、と。たしかに私のような異動を経験した人はそんなにはいないのかもしれません。正直、大変なことも多かったですが、結果的には、いろいろな経験ができてありがたいことだったと今は感謝しています。

最初に配属された事業部(自動車燃料部)では、仲間として認めてもらうために、仕事の後の集まりなどにもできるだけ参加するなど、自分なりに一生懸命頑張っていたところに、まったく接点のない大消費地販売推進部へ異動となり、それまで積み上げてきたものがゼロになるような感覚を覚えたことは今でもはっきり記憶しています。当時、自動車燃料部できちんと仲間として認められるということをすごく大事に考えていたように思います。総合職として入会した女性職員がほんのわずかだったこともあり、いろんな意味で、周りの皆さんを不安にさせないようにと考えていましたし、皆さんに仲間として認めていただき、しっかり仕事を教えていただこう、ということを非常に意識していたように思います。

このように、部門間異動には、それまで積み上げたものがゼロになる感覚はありましたが、その度に、新しいチャンスをいただいたと思って、気持ちを切り替えて仕事をしてきました。

おかげさまで、結果的に、広い人脈を培うことができましたし、今では私のかけがえのない財産となっていると思います。

加藤 確かに私の世代の企業は縦割り社会でした。それが総合力を発揮するには縦割りを打破するということが重要だということになってきたと思います。それに加えてどう女性を活用しバランスのとれた発想に拡充するかが課題になっています。

安藤 思えば、若い頃は、女性だからということよりも、やはり説得力がないという自分の力不足からの苦労だったと思います。

ただ、当時を振り返ると担当になったばかりの頃には、JA、県の方から女性の担当は頼りない、って言われたことはあります。私は自分が若いから頼りないと言われるのは仕方がない、だから頑張ろうと思いました。

外部の取引先からは女性の担当者ということでむしろ面白がっていただいたことも多かったです。

加藤 今は女性の総合職が増えて新しい時代に入っているのではないかと思います。そうしたなか、昨年の10月に「全国機関8団体・女性活躍に関する懇談会」が開かれ出席されたと聞きましたが、どんなことを感じましたか。

安藤 過去に頑張ってこられた先輩方の貴重なお話をお聞きし、どの方にもさまざまな経歴、経験と生活があり、いろいろな方がいてJAグループの今があると思いました。

ただ、今このテーマで集まりを持つということには少し違和感もありました。率直に言うと、ちょっと遅いのでは、という気がしたということです。

加藤 女性の登用というのは今の課題ではないのではないかということですか。

安藤 女性だから、男性だからという課題感ではなくて、個ということかもしれません。

先程申し上げたように、女性と言ってもいろいろな方がいるわけです。さまざまな事情を抱えているわけですし、それをひとまとめに括って、女性が、男性がという時代でもないような気がしたということです。

加藤 今の担当の食の商品開発は、女性が発想するという点で極めていいと思っていましたが、そういう考え方そのものが時代遅れかもしれないということでしょうか。

安藤 いいえ、そういう考え方を否定しているわけではありません。ただ正直、私はそういう、女性ならではの発想を求められて課長になったとは思っていなくて、少なくとも食に携わるということは、仕事として男性、女性関係なく、皆さん少なからず生活者でもあるわけですし、フラットに考えてもいいのかなという感じがします。

加藤 商品開発は民間企業との協議も多いということですね。

安藤 そうです。本会グループ内はもちろんですが、今は、グループ外の食品メーカー様や商社様、販売先様とも積極的に連携させていただいているので、民間企業様との協議は多い方だと思います。私としては、若い人にどんどん経験を積み重ねてもらいたいと思っているので、部下のサポート役になることを意識しています。自分自身の若い頃の実体験から、経験する機会に恵まれることは、成長にとって本当に必要だと実感しています。

平等よりも公平が大事

加藤 いわゆる食と農に関わるという組織として、これからはどういった人が求められていると思いますか。多様性ということが一つのキーワードだと思いますが。

安藤 どんな人材が求められているかなどは、おこがましくて私は言える立場ではないです。また、どんな人材が求められているかということになると、何か特定のタイプに当てはめようというようにも聞こえます。むしろ、おっしゃられた多様性はキーワードだと思いますし、そのことを実践できている組織は強いのではないでしょうか。

そういう意味で、男女共同参画と言われた頃は、男女平等を目指していくことが必要だったと思いますが、今は平等ということでもなく、むしろ公平ということなのではないかと考えています。多様性を受容したうえでの公平性をどう確保するかという段階なのではないでしょうか。

その人それぞれに得意なことややりたいこと、個性、事情などがあると思いますし、それを組織がどれだけ受けとめ、最大限に生かせるかということではないかと考えています。また、特定のタイプだけが評価されるのではなく、一人一人の良いところが最大限発揮できるような公平性のある組織がとても大事だろうと思います。

あんどう・たかこ 1970年生まれ。大阪外国語大学外国語学部卒。94年全農入会(自動車燃料部)。本所・支所・事業所勤務を経て、大消費地販売推進部、総合企画部、岐阜県本部への異動の後、2014年生活リテール部全農ブランド推進室長、17年JA全農青果センター東京センター営業部長、19年営業開発部MD企画課長(現職)

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