JAの活動:JA全国連組織の女性役員・管理職に聞く
【JA全国連組織の女性役員・管理職に聞く】自分なりのロールモデルを ZMクロッププロテクション 住田明子社長2024年9月19日
JA全国連組織の女性役員・管理職へのインタビューシリーズ。今回は、JA全農と三菱商事の合弁会社として2017年に設立されたZМクロッププロテクションの代表取締役社長に昨年就任した住田明子氏に聞いた。女性管理職登用が極めて少なかったかつて、「自らロールモデルをつくろうと決めた」と振り返る。トップとしてめざす組織のあり方も聞いた。聞き手は千葉大客員教授で元全農専務の加藤一郎氏。
ZMクロッププロテクション 住田明子社長
加藤 最初にZМクロッププロテクション社の設立目的や経営理念、業務内容を聞かせてください。
住田 JA全農は農薬の原体有効成分の権利をいくつか持っています。一方、三菱商事は農薬のトレーディング事業や、アジアを中心に原体製造拠点や農薬販売会社を持っています。これら両者の機能を移管して合弁会社とすることでシナジー効果を生み出そうというのが設立の目的です。
業務内容は、まず全農が持っている原体の国内の非農耕地、いわゆるゴルフ場やシロアリなどの害虫分野への展開と海外向けの展開です。
それから原体の製造、登録というスペシャリストが必要な業務の支援、さらに国内の農薬メーカーが海外に原体を販売するときの輸出トレーディングの事業です。
経営理念として、全農と三菱商事が持っている総合力と自由な発想、これを世界の農業及び非農耕地の現場にお届けし、豊かな社会づくりに貢献しよう、ということを掲げています。
加藤 三菱商事と全農を比較して男女間の組織風土の違いを認識されることがありますか。
住田 農薬部門の方々とのお付き合いしかありませんが、あまり違いはないのでは、というのが正直なところです。私の年代では、ライン長クラスの女性はあまりいらっしゃらないようですが、40代以下のマネージャークラスでは女性が活躍されているという意味では、全農とあまり大きな違いはないのではと思っています。
加藤 全農から出向してみて女性がより活躍するためには何が課題だと考えますか。
住田 私は入会してちょうど30年ですが、入会当時はそもそも女性の採用が少なく60数人中いわゆる総合職の女性は3人でした。2000年代になってからは女性の採用比率が伸びているので、自然と管理職の女性比率も上がっていくのではないかと見ています。もちろん女性がリーダーになって活躍していくには、いろいろな施策は必要だと思っています。
男性、女性にかかわらず、子育てや介護に直面している職員が働くにあたって課題になってくるのは、残業や出張、そして転勤だと思います。
これらの課題をクリアするための施策や体制をどう作っていくか。最近は全農では、たとえば子育て期間中は転勤を保留できる制度や、一度退職しても戻ってくることができるジョブリターン制度ができました。
残業や出張への対応としては、やはりワークシェアリングをもっと進めて、男性も女性も長時間労働を回避できる体制、また周りがフォローできる体制を作っていく必要があると思います。在宅勤務という働き方もできたので、そういう働き方の多様化を含めていろいろな選択ができる制度は必要だと思っています。
加藤 住田さん自身が管理職になった当時はどんなことを考えましたか。
住田 男性であればいろいろなタイプの上司、先輩がいらっしゃいます。しかし、女性のロールモデルが少なかったので、ライン長になった時にどう振る舞ったらいいのかと悩みました。私が出した結論は、男女関係なく、これまでお世話になった多くの上司、先輩の尊敬するところ、そして自分ができるところを見習おう、理想像は自分で作ろう、と思ったんです。
どのようなキャリアを描くのか、については、個人の希望と適性によるところもありますので、皆が同じでなくてもいいのではないでしょうか。後輩の皆さんには自分なりのロールモデルを創造して、そこをめざしていただきたいと思っています。
加藤 ところで、ZМクロッププロテクションは、会社自体、そもそも組成が違う組織が合併したわけですが、そこに何か強みや特徴ということを感じますか。
住田 確かに2社の合併なんですけれども、実は全農および三菱商事からの出向者、出身者は少なく、多くの社員は中途採用です。もちろん男性、女性関係なく採用しています。そもそも多様性の塊みたいな会社です。
社員はいろいろな経歴を持っていますから、それまでにやってこられた仕事のやり方で良いところはどんどん取り入れ組み立てていきたいと考えています。
そうした多様性のある社員が働きやすい職場をつくるのが会社の課題ですが、逆に言えば、そこがいいところだと私は思っています。
30人ほどの小さな会社ですから、いろんな人が気兼ねなく話ができ、意見を言える場は意識して作っているつもりです。やはり聞くということを大事にしたいと考えています。
すみだ・あきこ 1968年京都生まれ。神戸大学大学院農学研究科修了。94年JA全農入会。農業技術センター農薬研究部に配属。その後、東京支所、大阪事業所、本所、関東事業所で、農薬の技術普及、購買等を担当。18年営業開発部営業企画課長、21年耕種資材部農薬課長、22年耕種資材部次長。23年4月よりZMクロッププロテクションに出向、23年6月代表取締役社長に就任。
重要な記事
最新の記事
-
【特殊報】マンゴーにナンヨウキクイムシ 県内で初めて確認 宮崎県2024年9月26日
-
【特殊報】ホオズキにタバコノミハムシ 県内で初めて確認 福岡県2024年9月26日
-
【注意報】大豆にハスモンヨトウ 県内全域で多発のおそれ 大分県2024年9月26日
-
【注意報】大豆、野菜類ハスモンヨトウ 県下全域で多発のおそれ 長崎県2024年9月26日
-
【注意報】大豆、イチゴなどにハスモンヨトウ 多発のおそれ 福岡県2024年9月26日
-
【特殊報】トマトキバガ 誘殺により県内で初めて確認 神奈川県2024年9月26日
-
農林中金1.5兆円の赤字見込みで資産運用検証 27日に第1回会合 農水省の有識者会議2024年9月26日
-
役職員の声ふまえたJA経営戦略へ 全国4連がセミナー2024年9月26日
-
基本計画策定へ本格議論 10月2日に食農審企画部会 農水省2024年9月26日
-
【スマート農業の風】(8)可変施肥できますか2024年9月26日
-
沖縄県やんばる産「パイナップルの芯」でドライフルーツ ファミマで限定販売 JA全農2024年9月26日
-
WTTグランドスマッシュ開幕 卓球日本代表を「ニッポンの食」でサポート JA全農2024年9月26日
-
秋の味覚 栗が最盛期を迎える JAたまな2024年9月26日
-
「真吟の会」全国から酒蔵など39社が参加 サタケ2024年9月26日
-
機能性の追求と農村景観【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第309回2024年9月26日
-
「〆おにぎり&おつまみおにぎりグランプリ」実施中 427種類がエントリー JA全農2024年9月26日
-
岩手の米からバイオマスプラスチック「ごみ袋として使えるレジ袋」導入2024年9月26日
-
トヨタ自動車と共同開発「高オレイン酸 国産大豆の無調整豆乳 」発売 マルサンアイ2024年9月26日
-
令和6年鹿児島県茶品評会で「九州農政局長賞」「県茶生産協会長賞」受賞 今村茶園2024年9月26日
-
野村不動産コマース×農林中金「ニッポンの農畜産物支援プロジェクト」実施2024年9月26日