JAの活動:今さら聞けない営農情報
土壌診断の基礎知識(36)【今さら聞けない営農情報】第266回 2024年9月21日
みどりの食料システム法の施行によって国内資源を活用した持続型農業への転換が求められ、国内資源の有効活用に期待が高まっています。作物が元気に育つためには、光、温度、水、空気に加え、生育に必要な栄養素を土壌から吸収しますが、作物が健全に生育するには土壌の健康状態を正確に把握することが必要で、そのために土壌診断があります。現在、本稿では土壌診断を実施して土壌の状態を知り、正しい処方箋をつくるために必要な土壌診断の基礎知識を紹介してきました。前回までに土壌診断に必要な基礎知識の紹介が済みましたので、現在、処方箋作成の基礎知識を学んでいます。
土壌中に残存する肥料成分は、圃場回りの環境条件やそれまでの施肥・作付け状況によって様々であり、圃場の土壌の状態に合わせた必要資材やその量、施用方法などを示すのが処方箋です。
これまでに、処方箋を決めるため確認・検討プロセスを一通り紹介しました。すなわち、まず作付地域の施肥基準を入手した上で、それと土壌分析結果を照らし合わせながら、作付作物の標準施肥量を決定し、堆肥を施用する場合は、堆肥の施用量に応じて化学肥料の削減量を計算します。標準施肥量決まったら、その施肥量になるようにプロセスの順番に施肥量を決めていき、その際に使用する土壌改良資材は、土壌の状態に合わせて選定していきます。
いよいよ基肥肥料投入量の算出手順です。
決定した作物の標準施肥量と土壌のリン酸とカリの分析値を比べ、分析値が標準施肥量より過剰であれば、分析値から標準施肥量を差し引いた量になるように施肥量を減らします。(減肥基準)
分析値が標準施肥量の範囲内であれば、標準施肥量を施肥します。
ついで、堆肥を施用する場合は、堆肥の施用量を決定した後に堆肥によって投入される肥料成分量を計算し、その分を標準施肥量から差し引いて化学肥料の削減量を決定します。
このプロセスを経て、窒素、リン酸、カリの施肥量を決定します。
このように、処方箋を作成する場合は、まず土壌診断を行って土壌の状態を正確に把握することが何より必要です。土壌診断結果から処方箋を作成していくプロセスはこれまで紹介してきたように結構複雑です。現在は、処方箋を作成するソフト等が充実しているので、診断結果を入力するだけで処方箋が作成できるようになっていますので実際の作業はソフトにお任せした方が正確でスピーディです。
ただし、土壌改良を加える上では何故この資材が必要なのかなど原理が分かっていると処方箋の意味が深く理解できるようになりますので、本項では基礎知識を中心にご紹介しました。ご参考になれば幸いです。
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