JAの活動:今さら聞けない営農情報
農薬の正しい使い方(6)【今さら聞けない営農情報】第272回2024年11月2日
「いまさら」では農薬を正しく、安全に、しかも高い効果を得るため、農薬の正しい使い方の基礎知識をご紹介しています。まずは、農薬を正しく使うための第一歩である農薬の製剤に関する基礎知識をご紹介しています。
農薬を正しく使用するためには、これら剤型の性格をきちんと把握しておく必要があります。なぜなら、剤型によって作物への付着具合が異なり、有効成分の作物への付着具合が農薬の効果に大きく影響するからです。現在、その剤型ごとにその特徴と正しい使用方法、使用上の注意事項を紹介しています。
農薬の製剤にはその成り立ちから略記号がつけられており、各種資料などで略記号が付けられていることもあるので、あわせて覚えておくと便利です。今回も、水に希釈して散布する製剤の種類と特徴の続きです。
8.顆粒水和剤(略記号:WDG)・ドライフロアブル(略記号:DF)
この製剤は、水和剤の見かけの粒径を大きくし、顆粒状にすることで粉立ちが少なく、計量しやすくしたものです。希釈液は水和剤と同様にドロ水のような懸濁液なので、希釈後に時間が経つと沈殿が生じます。なので、水和剤と同様に希釈後も適宜混ぜる必要があり、攪拌装置がついているスーパースプレーヤーやブームスプレーヤー、セット動噴などを使用する場合はそんなに注意する必要はないですが、攪拌装置の無い大型桶などを使用して散布する場合は常に攪拌を意識するよう必要があります。
9.水溶剤(略記号:SP)
この製剤は、水溶性(水に溶ける性質)を持った有効成分を水溶性の増量剤や界面活性剤および色素を混合粉砕した粉状のものです。製剤の材料全てが水に溶けるため希釈液は透明になりますので、そのため薬液を識別できるように色素が加えらています。また、希釈後に沈殿が生じることはなく、水和剤のような薬斑による汚れが目立つことはありませんので、果菜類や果実などの収穫間近の防除に向いています。
10.顆粒水溶剤(略記号:WSG)
この製剤は、水溶剤の見かけ粒径を大きくして顆粒状にしたものです。粉立ちが少なく計量しやすい製剤で、希釈液も透明で散布後の汚れも少ないため、水希釈の製剤の中では、散布者にとって一番取り扱いしやすい製剤です。ただ、水溶性の有効成分にしか使用できないので、残念ながら製品の数はそう多くはありません。粉立ちが少なく軽量しやすい以外の諸性質は水溶剤と同じです。
(つづく)
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