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JAの活動:今さら聞けない営農情報

農薬の正しい使い方(15)【今さら聞けない営農情報】第281回2025年1月18日

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 「いまさら」では農薬を正しく、安全に、しかも高い効果を得るため、農薬の正しい使い方の基礎知識をご紹介しています。まずは、農薬を正しく使うための第一歩である農薬の製剤に関する基礎知識をご紹介しています。

 農薬を正しく使用するためには、これら剤型の性格をきちんと把握しておく必要があります。なぜなら、剤型によって作物への付着具合が異なり、有効成分の作物への付着具合が農薬の効果に大きく影響するからです。現在、その剤型ごとにその特徴と正しい使用方法、使用上の注意事項を紹介しています。

前回から製剤をそのまま散布する製剤をご紹介しており、今回はその11個目の農薬入り肥料です。

11.農薬入り肥料(略記号:無し) 

 肥料製品に殺虫剤や倒伏軽減剤、いもち病防除剤など農薬の有効成分を混ぜ込み粒状化したものです。この製剤は、肥料の施用と農薬の散布を1度に終了させて農作業の省力化を図ることを狙って開発されましたが、肥料と組み合わせる農薬の成分は、根から吸われて効果を発揮できるものに限られるため、使用できる有効成分が限られ、防除対象とする病害虫は限定的です。また、農薬の成分は10aあたりの投下量が決められていますので、農薬入り肥料の10aあたりの施用量は農薬登録の農薬成分投下量範囲に固定されます。

 例えば、農薬入り肥料の施用量は10a当たり20kg~40kgなどと範囲をとった施用量となっていることが多いのですが、この例ですと40kgを超えて農薬入り肥料を施用することはできません。なぜなら、上限の40kgを超えると、農薬入り肥料に含まれる農薬の成分量が農薬登録の上限を超えて施用されることになって農薬取締法違反となるからです。

 ところが、肥料単体の場合、製品の中に含まれる肥料成分量に合わせて肥料製品の施用量が決められるため、例えば、窒素を12kg/10aを施用したい場合には、肥料製品20kg袋に窒素が4kg含まれるものであれば、この肥料製品20kg袋を3袋施用します。
 これと同じ感覚で、窒素分が4kg含まれる農薬入り肥料を通常の肥料製品と同じように扱うと、40kgまでしか使えない農薬入り肥料を3袋=60kgと誤って施用することになり、農薬の過剰散布となってしまいます。

 このため、農薬入り肥料を使用する場合は、施用したい肥料成分量から逆算して、農薬入り肥料の施用上限(先の例では40kg)の範囲内で必要な肥料成分量が賄えるように銘柄を選択する必要があります。これに対応するために、農薬入り肥料の銘柄には、農薬の有効成分量は同じで、含まれる肥料成分量だけを変えた銘柄が複数揃っています。

 このように、農薬入り肥料は、施用が楽で便利な製剤ではありますが、防除用途が限られることや施用量を間違えないように注意しなければならない製品であることを理解しておく必要があります。

(つづく)

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