JAの活動:第58回JA全国女性大会特集
【インタビュー】これまでの60年を振り返り、未来に向け転換しよう 瀬良静香・JA全国女性組織協議会会長2013年1月21日
・改めて地固めするとき
・「食と農」を基軸に
・地域密着型の発信を
・JAとタッグを組んで
平成25年度からはじまる新3カ年計画に臨む思いとして瀬良会長は、これまでの活動を振り返り、できなかったことはその原因をきちんと考え、解決策に向けて行動することが大切だと強調した。
◆改めて地固めするとき
――来年度から新3カ年計画「JA女性 心ひとつに 今をつむぎ 次代へつなごう!」がスタートしますが、22年度から取り組んできた「JA女性 気づこう 一人ひとり 行動しよう 仲間とともに」を振り返っての感想と新3カ年計画にあたっての会長の思いをお聞かせ下さい。
瀬良 この3年間の運動で「気づく」ことはできたと思っていますが、それをなかなか行動に移せなかったのではないかと思います。それが活動のマンネリ化や部員の減少という課題につながってしまったのではないかと反省しています。進展にはプラス思考での行動が大切ですから、時代にあった発想で新しいことを取り入れていくことが今後の運動には必要だと思っています。
JA女性組織は昨年60周年を迎え、改めて地固めをする時期にいます。新3カ年計画の「心ひとつに」というのは、女性部一人ひとりが同じ気持ちになって前を向いて歩いていかなければいけないということ。「今をつむぎ」は、今までのしがらみをほどき、また縒り直す、という意味です。蚕から糸を紡いでいくように、現状を見つめて、今の活動一つひとつを大切にしていかなければ糸が切れてしまい次につながらない、というメッセージを込めています。
それぞれの地域でこれまでの活動を振り返り、よかったことは今後さらに伸ばしていき、悪かったところは反省点を見つけて改善に向け転換していくことが大切だと思います。
◆「食と農」を基軸に
――そのなかで、とくに重視している取り組みは何でしょうか。
瀬良 「食と農」を核とした取り組みを基軸にしていきたいと考えています。地産地消活動や食農教育などを中心とした運動です。今まで先輩たちから教わってきた伝統料理や食文化を若い世代につないでいくこと、それぞれの風土に合った郷土料理を次代につなげていくことが重要だと感じています。それから、加工や直売事業などを通して心だけでなく生活も豊かになる活動での生きがいづくりもそうです。
もうひとつは「くらしをベースにした活動」の実践です。私たちは東日本大震災以降「全国統一 みんなで工夫! 消費電力マイナス10%大作戦!!」を実施してきました。きちんと環境保全を進めることで、今回のJA全国大会で決議したように将来的には原発に頼らない社会にしたいと思っています。私たちはJAグループの中の女性組織として、たとえ被災地から遠く離れた地域であっても特産品を買うことや旅行に行くこと、ボランティアなど、自分ができることをそれぞれがすることで復興支援を継続していきたいと思います。
地元に帰って地域の人たちと話しをすると、もう震災の話題すら出てきません。東北から遠く離れた一般の人たちには、支援の気持ちが薄らいでしまっている。しかし風化させてはいけないことです。私たちは組織があるので何らかのかたちで支援していくことができますから、自分たちの目で見た実情をそれぞれが地域で発信していかなければいけないと思います。この思いは「次代へつなぐ」という言葉のなかにも含まれています。地域に自分たちの活動を発信していくことそのものが復興支援につながり、女性部活動が活発になることにもつながると思います。
◆地域密着型の発信を
――今後、JA女性組織が組織として発展させるにはどのような取り組みが必要とお考えですか。
瀬良 課題のひとつに部員の減少があります。JA女性組織のメンバーは現在66万人ですが、年間3万人が減少しているというのが現状です。このままいくと10年先は36万人ということです。
しかし、ただメンバーの減少を嘆くだけでなく、どうしたら仲間が増えるのか考えることが大切です。仲間づくりは私たちの大きな役割なので、もっと自分たちの活動を様々なメディアを通して発信していく必要があります。
地域には農業者だけでなくいろいろな組織があり、さまざまな世代の人がいますが、地産地消や食農教育などの活動をしている組織は他にないと思いますので、この存在をアピールしていきたいと思います。
――その具体的な情報発信のイメージとはどんなものですか。
瀬良 やはりJAの活動は地域密着型です。当然、『家の光』や『日本農業新聞』、JAの広報誌などから発信していくことは重要ですが、組合員や准組合員など系統内には伝えられても、たとえば団地の奥さんや若い女性たちにはわからないので、地域のケーブルテレビや地元紙へのアプローチに力を入れていくことが有効だと思います。活動や情報をこまめに提供すれば向こうから逆に取材にもきてくれますし、ケーブルテレビに出ると知らない人から声をかけられることもあって反響や効果を実感します。こういった発信を強化していくことで、定年後、地域で第2の人生を楽しもうと思っている女性たちを仲間に取り込むチャンスにしたいと思います。
◆JAとタッグを組んで
――新3か年計画では「次世代」をキーワードにフレッシュミズ活動の促進を重点においていますが、フレッシュミズの育成についてはどうお考えですか。
瀬良 フレッシュミズの育成はそれぞれの県域で目標の設定をお願いしていますが、まだ県組織がないところもあるので、まずは県組織を立ち上げてもらうことです。そのためにはやはり目標を決めることが重要です。“私たちの県はいつまでに立ち上げる”と具体的に目標を決めれば、やるべきことが自然と見え、必ず目標に向かって歩むことができます。
次世代育成に努めなければいけないという思いは誰もがもっていますが、そこで止まってしまってはいけません。どうしたらいいか、もう一歩踏み込んで考えて行動計画をつくり具体化していくことが大切です。
そのためにはJAにももっと女性部のことを理解してもらい、JAとタッグを組むことも大事です。
――引き続き掲げられている女性参画3目標の現状についての会長の思いをお聞かせ下さい。
瀬良 ぜひともこの3目標は全JAで達成してもらいたい。現在、非常勤役員が969人誕生したことは大変うれしいことですが、もっともっと女性がJAに参画していけばJAももっと変わり、それによって女性組織そのものも変わっていくのではないかと思います。
農業者の約5割は女性です。女性参画3目標が達成できた後はさらに目標数値を上げていきたいと考えています。
女性にはJA経営や支所運営委員会など、企画に関わる場に加わってほしい。端々に集まるのではなく、中央へ行って発言できる女性になってもらいたいというのが願いです。やはりこれにはJAの理解が必要ですし、トップダウンがもっとも重要だと思います。
反対に女性が後ろ向きではいけません。立場を与えられたときに自信を持って出ていけるように、女性も日頃からしっかり勉強し、JAと二人三脚で足並みを揃えていくような女性組織でありたいと思います。
(特集・日本農業の未来を創る女性たち)
・【提言】社会変革は女性の力で 小林綏枝(本紙論説委員、元秋田大学教授) (13.01.21)
・【特別寄稿】大会決議の実践、女性の活躍に期待 JA全中・萬歳章会長 (13.01.21)
重要な記事
最新の記事
-
【注意報】トマトに「トマト黄化葉巻病」 県内全域で多発のおそれ 愛知県2024年11月5日
-
9割方が成約したクリスタルの取引会【熊野孝文・米マーケット情報】2024年11月5日
-
愛媛で豚熱 国内94例目 四国で初2024年11月5日
-
「ちんたいグランプリ2024」で準グランプリ受賞 ジェイエーアメニティーハウス2024年11月5日
-
生産量日本一 茨城県産「れんこん」30日まで期間限定で販売中 JAタウン2024年11月5日
-
「秋のまるごと豊橋フェア」7日から全農直営飲食店舗で開催 JA全農2024年11月5日
-
SAXES乾燥機・光選別機向けキャンペーンを実施 分析サービス「コメドック」無料お試しも サタケ2024年11月5日
-
中古農機具の買取販売専門店「農機具王」決算セール開催中 リンク2024年11月5日
-
ニッポン全国めん遊記「冬・年越しそばを噛みしめて」160人にプレゼント 全乾麺2024年11月5日
-
【人事異動】J-オイルミルズ(11月1日付)2024年11月5日
-
「起農みらい塾」食のイベント会場で学びの成果を披露 JAグループ広島2024年11月5日
-
グループの特例子会社2社を合併 クボタ2024年11月5日
-
病害虫対策を支援 農業向けアプリ「FAAM」をアップデート 11月中旬に配信2024年11月5日
-
乳の価値再発見「ジャパンミルクコングレス」最新のミルク研究を発表 Jミルク2024年11月5日
-
日本酒を鍋料理と合わせて楽しむ「鍋&SAKE」キャンペーン実施 日本酒造組合中央会2024年11月5日
-
宅配インフラ活用 家に居ながらフードドライブに協力 パルシステム千葉2024年11月5日
-
草刈りは手放しで AI+自律走行「MAIRAVO」コンセプト機発表 オカネツ工業2024年11月5日
-
AgVenture Lab「学生ビジネスプランコンテスト"JUMP Vol.4"」エントリー受付開始2024年11月5日
-
「第3回全国りんご選手権」最高金賞は弘前市「とっこの森のりんご園 完熟名月」2024年11月5日
-
「XSトラクター」発売記念キャンペーン開始 三菱マヒンドラ農機2024年11月5日